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落ちやしない。

先日、ご来店くださったお客様が虫に食われたスーツを見ながらこういっていました。

油汚れを落とそうとワイドハイターを使っても落ちやしない!

虫に食われたスーツはものすごく汚れていまして、ところどころにしみがあります。
どうやらそれを落とそうとして使っても落ちなかった、という事らしいんです。

ワイドハイター、酸素系の漂白剤ですね。
残念ですが、漂白剤では油汚れは落ちません・・・。
おそらく経験上、いろいろなしみがワイドハイターで綺麗になったので、使ったのではないかと思うんです。

洗っても落ちないしみは漂白剤を使って落とすことが多いのは事実です。
漂白剤は、酸化もしくは還元作用を利用して色素を破壊し、しみを落とします。
しかし、色素は破壊しますが、油などを破壊するわけではないんです。

一般的に、染み抜きには順序があり、漂白剤は3番目くらいに来る工程なんですね。

染み抜きをする際、通常は油の染み抜きから入ります。
それで落ちない場合、次は水溶性の染み抜き剤を使い、それでも落ちないときに漂白剤を使用するんです。

こう考えると分かりやすいでしょうか。

染み抜きはしみにあった処理をしないと落ちません。
油汚れは油で溶かして落とすのが基本ですし、水に溶けるしみは水で洗い流すのが基本です。
これらのしみに漂白剤を使っても効果は出ません。
どのようなしみか判断がついている場合は別ですが、たいていのしみは油汚れや水溶性の汚れが混合されて出来ています。

つまり、順番に作業をする必要があるわけです。

漂白剤の効果も、油汚れを落とし、水溶性の汚れを落としてからのほうが効果も大きく、やはりいきなり使うのはお勧めしません。

きちんと使うと効果も上がり綺麗になってくれます。

どうも皆さん漂白剤に頼りがちですが、漂白剤にも問題がないわけじゃないんですよ。
漂白剤は危険と隣り合わせ、ということも頭の片隅に入れておいてください。
市販の漂白剤は薄まってはいますが、それでも危ないことには変わりはありません。

汚れもさることながら虫食いの被害も甚大です。
今回はあまりにも虫食いの数がすごかったので、かけはぎなどはせず、所々貼り付けて処理することになりました。

脱ぎっぱなしは危ないです。

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