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汚れを落とすということ。

コメントをいただきました。
詳しくは、11月21日のコメント欄を参照してください。

非常に難しい問題で、いろいろな側面をはらんでいます。
どちらにも言い分はありますし、そのどちらもある意味間違っていない。
しかし、どこかねじれているという不思議な状態です。

コメントをいただいた方が一番気になっていた、「リスクをクリアして汚れを落とすのがクリーニング屋だ」という言葉、確かにそのとおりなんです。

しかし、クリアできないものもあるのも事実。
何でもかんでも何とかしなさい、という事は不可能ですね。
おそらくお互いのやり取りの中で思わず出てきた言葉なのでしょう。

汚れを落とすという事はとてもリスクがあります。
特にクリーニングを仕事として請け負っている側からすると、そのリスクは計り知れないものがあるんです。

というのも、洗っている品物はお客様のもの。
万が一事故が起こったときなどは、クリーニング代の何倍もの弁償をしなければなりません。
お金で解決すればまだいいほうで、時にはそれだけで済まないケースもあります。
ですから、事故を起こさないように、仕事をしているわけです。

そんなのプロだから当たり前だ!、そうおっしゃる方もいると思います。
その通りで、だから勉強もし、事故がおきないようにしているわけなんです。
薬品と生地の相性なども表でありますし、どの濃度で使うと穴が開くとかいう情報もきちんと持っています。

ところが、本に書いてあるように行かないから難しいんですね。

書いてある通りの処理をしても落ちませんし安全かというとそういうわけでもありません。
なぜなら、生地や汚れはそれぞれ違うからです。
昔に比べ、糸も細くなってきているし、熱や薬品に対する耐久性もその細さゆえに変わってきています。

それらを総合的に判断しながら汚れを落としていくわけですね。

こういう例えをすると分かりやすいでしょうか。

後ろ向きで、崖の方に向かって歩いています。
崖ぎりぎりで止まらなければいけないのですが、振り向くことも出来ないし、どれくらい距離があるのかも分かりません。

人によってはそーっとそーっとゆっくりと歩を進める人もいるでしょう。
一気にぐんぐん進む人もいるかもしれません。
時には落ちちゃう人も出てきます。

まさにこんな感じなんですよ。
汚れを落とすために、いろいろやるんです。
薬品も使いますし、物理的に力を加えることもやります。
でも、やりすぎれば色が抜けてしまったり擦れてしまう。
しかし、どれくらいでそうなるかは分からない。

ここが難しいところなんですね。

人によっては、早めに無理だと判断する人もいますし、ぎりぎりまで神業的に落とす人もいます。
センスといいましょうか技術といいましょうか。

そこまで神経使うような仕事は稀じゃないの?と思うかもしれません。
ところが、気を使わないで出来る仕事なんてあまりなく、一つ一つかなり神経を使うんですね。
白鳥のごとく、表面はそんな大変そうな様子は見せていませんが、工場の中は戦場といっても過言ではありません。

あ、洗浄と戦場はかけておりませんのであしからず。m(__)m

リスクをクリアするために、いろいろ努力はします。
でも、繊維が細くなり、目新しい服が増えてくるたびに、そのリスクが高くなりすぎて手が出ないものが増えてくるのも事実です。
下手すると、洗えないものもありますから。

すると、洗わないで、汚れたところを部分的に処理をし、色が抜けたら補色をする、そういった作業が必要になってきます。
しかし、問題なのは、この手の作業は非常に手間がかかるということ。
すでにネットでやっている方がいらっしゃいますが、そのどれもクリーニング代のはるか何倍もの料金で請け負っています。

今回の事例がそれに当てはまるかは分かりません。
もしかしたら通常のクリーニングで落ちたかもしれませんしね。
ただ、難しい商品をクリーニングもしくは綺麗にしたいのであれば、それなりに覚悟も必要だと思います。
他の商品と同様に扱えませんし、料金がかかることもありますし、汚れが落ちきらないこともあります。
商品によっては、早めに洗ってもらうようお客様のご協力も必要です。

ケースバイケースなので説明が難しいのですが・・・。

今回はクリーニング屋さんのリスクとその時の心情を少し書いてみましたが、この話にはまだ問題が隠されています。
明日はそれについて書いてみようと思います。

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コメント

まいどです。話の途中なのでどうしようかなと思ったのですが、シミ抜き料金ってのは、シミによって違うのですか?店のシステムでは、目立つシミや汚れにはレギュラーコース(即日か翌日仕上げ)で出来るシミ抜きのタグをつけます。これは無料です。レギュラーコースで時間が足りないことやシミ抜き料金がないとコスト面で赤がでてしまう場合は、一律210円で受けています。ただ、シミがのかなかった場合でも料金はお返ししません。あ、そういえば工場長が「インクのシミ抜きは採算があわない」と言っていた気がします。

投稿: 浅美 | 2007年11月24日 (土) 20時37分

浅美さん、まいどです。

そのお店のシステムで違うと思いますが、しみの種類や素材によって料金は変わってくるのが一般的です。
ただ、中には、染み抜き代を無料にしているところや一律料金でやっているところもあるでしょう。

難しいのは染み抜きと言う表現は同じでもやっていることはまったく違うと言うことです。
洗うだけで落ちるものを染み抜きと称して、お金をいただいているところもあると思います。

投稿: boribori | 2007年11月25日 (日) 08時04分

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