自分が思うより一月ほど早めに。
先日、白いジャケットと白いコートをお持ちになったお客様がいらっしゃいました。
両方とも本来ならば白いものなのに、黄色く変色したり、黒っぽい汚れがあちらこちらに見受けられます。
明らかに着すぎと置き過ぎ、です。
ここ数年、白い服が流行っているんですが、どうも洗うタイミングが悪いようで、とても気になっているんです。
おそらく、自分で着ていてもその黒っぽさに嫌気がさしていると思うのですが・・・。
最近は暖かくなってきていたので、冬物をしまうために洗うんであろうと思い、でも念のため、お急ぎですか?とお聞きしました。
すると、特別早くは必要は無いけど、まだ着るのでそれなりに、と言われたんですね。
もうそろそろ本格的に暖かくなりますから、一度や二度袖を通してしまうのはちょっともったいない。
出来るなら、もう着ないと言うところで洗った方が良いですよ、と言うと怪訝な顔をします。
どうも、どういう意味か分からない?と言った感じ。
結構こちらの意図が伝わらないことは多々あるので、いつものようにその理由を説明します。
生地がとても柔らかいこと、袖を通し、汚れが残った状態で仕舞ってしまうと虫食いやカビの可能性があること、しまうときにクリーニングするのがベストなどなど、いつもと同じ説明です。
しかし、どうも通じない・・・。
説明が悪いのかな。
そして、もう一つ、気になったところ、着用のし過ぎについても説明をしたんです。
この生地とこの色で、ここまで着用するとハードすぎるので、自分が思うよりも一月ほど早めにクリーニングした方が良いですよ、と。
すると、こうおっしゃったんですよ。
着る一月前にクリーニングすれば良いんですか?
なるほど、これですべてが納得。
このお客様、クリーニングは着用前にするものだと思っているんですね。
だから、来た後のお手入れの話などはどうもイメージできなかったんだと思います。
この手の話は珍しくなく、ここ数年こういう方が非常に増えてきています。
次着用する前にクリーニングに出す、ある意味定番なんでしょうか。
今回のお客さまに、再度しまう前のクリーニングの説明をして、どうして着用前に洗いたいんですか?とお聞きすると、こうおっしゃいます。
仕舞っておくとしわしわになるので出して着ることが出来ない。
クリーニングしてすぐ着る方がいい、とおっしゃるんですよ。
言いたいことも分かるんですが、微妙な感じです。
今でこそ、立体、つった状態で品物をお返しするようになり、それがスタンダードになっていますが、昔はスーツもコートも全部たたんで返していたんです。
そして、よくシーズンになると、プレス(アイロン掛け)のご依頼が来て、そこで立体にしてお返しをしたもんなんですね。
昔は仕舞うときはたたんでいましたので、このような利用方法だったのですが、今は立体のまましまうのが常識です。
すると、着用前にプレスすると言う感覚はおそらく無いと思うんです。
きちんと隙間を明けてしまって置けばいいのですが、大体のご家庭がぎゅうぎゅう詰めにして仕舞っているので、しわが出来てしまうんですね。
糸が細くなり、デリケートな品物が増えている中、汚れたものを洗わないで仕舞うというのは非常にリスキーです。
ちょっと考えれば分かることだと思うのですが、意外と皆さん固定概念が強いんです。
ですから今回のようなお話が出てくるんですけどね。
確かに次に着るために洗うんですけど、洗うタイミングと言うのもあります。
いつ洗ってもOKというものではないですから、是非、着用し、汚れているものは洗ってからお仕舞いください。
汚れていないと思っても、袖口、襟首、ポケット周辺などなど、意外と汚れているものです。
よく見るようにしてくださいね。
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