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奇跡のジャケット。その1

この仕事をしていて、たまにこの品物はここへ来るべくしてきたんじゃないだろうか、と思うときがあります。

11月初めの事。

土曜の夜でした。
店番をしていると、若い男性が二人、ふらりとお店に入ってきたんです。
そして不意に一言。

ここって、リメークってやってますか?

リメーク・・・・・、この場合どういう意味で使っているんだろう?とおもい、どういう意味ですか?と質問すると、修理もしくは使えるように直してくれないか、との事らしいのです。

とりあえず現物を見せてくださいというと、今着ているジャケットを脱ぎます。
そのジャケットは、フライトジャケットで、本物の米軍のものだとおっしゃいます。
見ると、肩の所が切れてしまっています。

本物のフライトジャケットというところでまず躊躇しました。
というのも、実はこの手の商品は、軍人さんがなんらかの理由で卸した商品で、通常は手に入らないものなんです。
しかも、こういうものを探してでも着る人は、思い入れというか愛着が人より強い傾向があります。
ご希望にそう事が出来るかどうか、またそのご希望自体のハードルもどの程度高いのか、内容によっては受けることが出来ません。

以前、友達のクリーニング屋さんから相談を受けたことがあり、チャックの取っ手が割れてしまったんだが、同じものを入手することが出来ずに困っていると相談を受けたことがあるんです。
ひとたび何か起これば、対応することが難しい商品であることには間違いありません。

といいましても、すぐさまお断りするには判断が早すぎますので、とりあえずお話しながらどうするか決めようと考えました。

まず、この手のジャケットの危険性といいますか、特殊性を説明します。

もちろん、特殊性はわたしよりもお客様の方が詳しいので良くご存知です。
そして、次に、破れている箇所をみて、どの程度修復できるか、微妙だと伝えます。

よく見ると、ただ切れているというわけではないんです。
最初、縫い糸がほつれたんでしょうね、ぱっくりと開いてしまったようです。
そのまま、肩掛けバッグをかけ続けたら、開いたところから徐々に破れが広がっていった、というもの。
ただ縫うだけにしても、微妙に生地が足りない感じがします。

お客様とお話をしているうちに、お客様からこのようなお話が。

とにかくどんな形でも良いので、着れる様にして欲しい。
右と左が多少変わってもかまわない、上から生地を張るのでも、問題はない。

とにかく、修理して着れる様にしたい、という思いがひしひしと伝わってきます。
もし生地が足りないのなら、ポケットの裏地から取ってくれてかまわないとまでいいます。

今までも、この手のジャケットをお持ちになったお客様は沢山いらっしゃいましたが、その方々のほとんどが現状を維持して欲しいというものでした。
ワッペンなどはがれてもらっては困るし形が変わるのも勘弁だし。

そういう意味では、今回のこの申し出はちょっと意外だったんです。

どうしてそこまでして着たいのか、質問をしてみました。

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