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デザイナーとばったり!!

クリーニング業をしていて、洗う前に必ずすることは、洗濯表示のチェックなんです。
まず、これをチェックし、素材をチェックし、どうやって洗うか考えます。


素材的に大丈夫なはずなのに、どうして水洗いが出来ないんだろう?という商品があったり、逆にドライクリーニングが出来ない理由はどこなんだろう?と、頭を悩まされる商品も多数あります。


素材的に大丈夫なのに洗えないってどういうこと?と思う人もいるかもしれません。
でもね、そう言う商品はたくさんあります。
理由は簡単、生地と服は違うということなんですね。
生地単体では問題がなくても、服になると生地以外にもさまざまな要因が発生します。
接着芯を使っていたり、表地にプリントされていたり、ボタンなどの影響も出ますね。


つまり、服とはこれらの複合的な要因の元で、作られているので、洗うときは当然それらの事を踏まえながら洗う必要があるんです。


先日、面白い体験をしました。


新規のお客様に呼ばれまして、品物を引き取りに三鷹市まで伺ったときのこと。
自動車メーカーさんで、今回のご依頼はモーターレースなどで使うつなぎやオープンシャツ、防寒着などのクリーニングでした。
モーターレースに使うような代物ですから、物凄く品質がいいんですね。
しっかり作られていまして、それにもまして、デザインがかっこいい!
こんなのビシッ!と着られでもしたら、憧れちゃいます。


お預かりするときに、当然素材表示を見ながらどのように扱うか想像していたところ、ポリエステルで出来ているのに何故かドライクリーニングが出来ない、という表示がついているんです。


この手のものでよくありがちなのが、表地に文字や絵がついていてそれらがプリントされているものだと、ドライクリーニングによってプリントがはがれてしまいますから、洗うことが出来ません。


最初、そこを疑ったんですが、良く考えると見せるために最高の品質で作られているものが、プリントのはずがない。
見るとやはりプリントではなく、刺繍できちんと作られているんです。


むむむっ!
ますます分からんなあ・・・・・、と受付のお姉さんと、悩んでいるところへ、足取り軽い、すらりとした、ちょっとオシャレっぽい男性が通りかかったんです。

私たちが、悩んでいるのを不思議そうな目で見て、覗き込んできます。


覗き込まれたので、こちらも普通に話しかけまして、事情を説明したんですね。
すると、その男性、話に見事ついてくるではありませんか。


通常、クリーニングの話はなかなかついてこれるものではないんです。
素材が分からない人はたくさんいますし、ましてや洗いに関して分かる人はごくまれです。
なのに、いろいろと話についてこられるので、不思議な人だなあと思っていました。


ドライクリーニングが出来ないんですよね、と私が言うと、ポリエステルだから普通は出来るよね、とおっしゃいます。
そこで、詳しそうなので、ドライクリーニングが出来ない条件をいろいろとあげてみると、なんとお答えをもらってびっくりしたんです。


このジャンパー、接着剤は、刺繍の裏側に使っているから、きっとそこだね。

な、何でこの人はこんなこと知っているの?と不思議に思っていると、受付のお姉さんが一言。


あの人、この服をデザインされた方なんです。


今まで結構長くクリーニングに携わって着ましたけど、服を目の前にして、そのデザインをした方とお話をするなんてことは今まで一度もありません。
その後、この服が作られた意図など懇切丁寧に説明をしていただきまして、クリーニングする目途がついたんです。


どうしても車関係ですと汚れは機械油が多い。
となるとやはり油を落とすために、ドライクリーニングもしくは油を落とすような薬品を使わなければなりません。
ドライクリーニングが出来ない理由がはっきりしないままですと、怖くてとても洗うことは出来ませんが、今回のようにどこで使われているかはっきりと分かれば、それにあわせた対処が出来ます。


お店に返ってきて、改めて品物を見て、デザイナーさんの言葉を思い出していました。


この服は計算されつくして、作られている。
着やすいように、動きやすいように徹底的に作られている、というんですね。


そして、商品の性質上、見栄えが良くなるようにそこも徹底して作られているわけです。


ここがクリーニング屋さんとの差なんでしょうね。


クリーニング屋さんは洗うことをまず第一に思っています。
ですから、洋服も洗えないような作りは受け入れない傾向があるんですよね。
高価なブランド品も、形態変化を起こすようなものは、はっきりと欠陥品だといっちゃう人もいるくらいです。


でも、やはりそれはクリーニング屋さんの論理に基づいての話しだと思うんです。
これがアパレルさんだったらどうかと思うと、アパレルさんにはアパレルさんの目的と言うものがあります。


お客様が着易いように、デザインも良く、肌触りも良く、お値段も比較的安価に、見栄えがいいように、などなど、いろいろあるでしょうが、目的を持って作られていることは間違いありません。
残念なのは、その目的の中に、クリーニングをするということは入っていないようです・・・。


これは、クリーニング業とアパレルさんの相互理解がまだ足りないのではないかと思うんですね。
アパレルさんはさすがにクリーニングのことは分かりません。
洗ったときに起こる問題は、クリーニング屋さんが一番知っているわけです。
そして、その部分を修正すればさらによい商品になることも知っています。


消費者はいいものは長持ちするというイメージがあると思うのです。


と思えば、クリーニング屋さんとアパレルさんが本当に情報交換をし、生産の段階で洗うことも踏まえた作りをしていったら、どんなに良いことでしょうか。
衣類の世界でも、日本製は一番!といったイメージが出来上がるんじゃないかなあと思います。


まだ、今の段階では、製品の苦情としてでしかないようですが、もう一歩進んで、問題のある箇所を洗い出し、クリーニング屋さんからの意見をいい、次の製品に反映できるようなシステムがお互いできたらいいなあと思います。


各々の業界の尺度だけでいい製品は作れません。
商品は業界の壁を乗り越えて渡っていきます。
共通の尺度は必要になってくるでしょうね。


一伸ドライクリーニング店 
カシミヤ・アンゴラ専門店 カシミヤクリーニング.COM
東京都府中市住吉町2-17-13
工藤隆史
TEL 042-362-6470
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営業時間
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