カシミヤは怖いんですか?
先日、一本のお電話をいただきました。
カシミヤの毛布をクリーニングしたいのだけれど、迷っているとおっしゃいます。
インターネットでカシミヤの毛布を洗ってもらおうと探していたら、カシミヤクリーニング.COMともう一軒に絞ったというのです。
ただ、この先がどうしても決めかねているので教えてください、というものでした。
こうしてはっきり言って頂けると、こちらもいろいろとお答えしやすくなります。
もう一軒のクリーニング屋さんは、インターネットでもわりと有名な都内のお店。
詳しくは存じ上げませんが、一度ホームページを見させて頂いたときには、ブランド物が得意で、また高級品を扱うのが上手なのかなといった印象です。
とりあえず、どのようなクリーニングを当店でしているか、その理由など、ご説明します。
すると、説明が終わるとお客様がこうおっしゃるんですね。
○○○さんでは、洗ってもいいけど10センチほど縮むのをご了承していただければ洗いますといわれたんですけど・・・・。
じゅ、10センチー???
そりゃあ、かなりの縮みです。
何でまたそんな説明をしたんでしょうか、不思議に思いました。
そこで、今度は縮みの発生の仕方や原因などを説明させていただきまして、またその対策方法もお伝えします。
きちんとした対策をとれば、そう問題は起こる事はないと思うんですけどね。
お客様とお話をさせていただいているうちに、段々と詳細がつかめてきました。
問い合わせた後に、工場担当者から直々に電話をもらったとの事。
そこで、縮みの可能性をいわれ、また、毛布などはアクリル製しか洗ったことが無く、カシミヤは扱ったことが無いということ。
お客様も、10センチも縮むといわれて怖くなってしまったようで、躊躇したようなんですね。
そりゃ、怖くもなるってものです。
お客様いわく、工場担当の方があそこまで言われるのだから、絶対縮むんだと思う、と。
そうでなければあそこまで言うはずが無い、そうおっしゃるんです。
なるほど、確かにそうも取れますね。
でも、こう考えてみるとどうでしょうか?
私は絶対縮むという意味でいったのではないと思うんです。
扱ったことが無いとおっしゃっていますし、普段扱っている毛布もアクリル製との事。
カシミヤはアクリルに比べて繊細ですし、扱いが難しいのは間違いが無い。
そこで、起こりうる可能性をすべてお伝えしておこうとしたんだと思うんですね。
起こってしまった後から、説明をしても、なかなか信用していただくのは難しいですし、事前に説明をしておくのはあながち間違いではありません。
ですから、お客様が怖くなるくらい、最悪の可能性をすべて伝えてしまったんではないかと思うのです。
でもですね、衣類の難しさといいましょうか、普通に洗うだけで縮む商品も確かにあるのです。
一見しっかりと出来ているように見えて、実はスカスカ。
洗うとスカスカの目が詰まっていき縮んでしまうというものもあります。
見れば危ないかな?と思うかもしれませんが、電話でのお問い合わせなどでは、商品の事を見ることは出来ませんし、お客様の説明で想像するのは至難の業です。
そう言う風に考えれば、ひどすぎる対応とまではいえないとは思いますが、ただ過剰すぎた印象はありますよね。
時間をかけまして、カシミヤの説明をし、洗いで起こる可能性も伝えつつ、でも、おそらく問題なく洗えるとお伝えしました。
当店をご利用していただければうれしいですけど、関西方面のお客様でしたので、送料などを考えるとやはりお近くのクリーニング屋さんで見つかるのが一番好ましいと思いまして、その旨を伝えますと、実は・・・・、とおっしゃいます。
近くの腕のいいクリーニング屋さんに聞いたら、洗ってもいいけど・・・・、とあまり乗り気ではない様子で、やめちゃったとおっしゃるんです。
うーーーーーーん、カシミヤ製品は怖いんでしょうか。
だって、昔は皆さん普通に扱っていたんですよ。
それが何でここ最近になってカシミヤの扱いを嫌がるようになってしまったのか。
確かにね、カシミヤクリーニング.COMを始めたきっかけの一つに、あまりにもカシミヤのクリーニングがひどすぎたというのもあります。
でも、その中でもきちんとしたクリーニング屋さんはちゃんと残っているはず、なんです。
こうしてお問い合わせをいただき、、わざわざ送っていただいて仕事をさせていただけるのはうれしいですが、反面、近くで見つけられないというのも問題だなと感じています。
大丈夫か、クリーニング屋さん。
本当に心配になります。
一伸ドライクリーニング店
カシミヤ・アンゴラ専門店 カシミヤクリーニング.COM
東京都府中市住吉町2-17-13
工藤隆史
TEL 042-362-6470
定休日 日曜日
営業時間
朝8:00~夜10:00
★宅配も随時受け付けております。お気軽にお問い合わせください。
集配エリアはこちら。
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コメント
工藤さん
大変御無沙汰しております。
青森のイチノヘです。
いつも興味深く拝見しています。
今日の内容も【濃い】ですねぇ~
毎度ながら勉強になります。
ところで、御社ではカシミアの毛布はドライクリーニングですか?
ウェットクリーニングですか?
当社ではいつも論議になります。
トラブルを最小限に抑えるには『ドライクリーニング→自然乾燥』が有効なのでしょうが、寝具ということを考えると水洗いをしたい。でも縮みのリスクが…
で、結局はドライクリーニングに落ち着いています。
他社さんではどのようにしているのでしょうか?
投稿: しんいち | 2009年7月11日 (土) 12時54分
一戸さん、まいどです。
ご無沙汰しておりました。
お元気でしたか?
今回の事例ですが、現物を見てみないと分かりませんが、うちならドライクリーニングですね。
ウェットは、状況を見て、どうしようもなければします。
この判断は皆さん迷う所ではないでしょうか。
汚れを落とすのが第一目的なのか、外観や風合いなどを重視するのかでも違ってくると思うのです。
クリーニング屋さんはとかく、洗いたがります。
とにかく汚れを落としたい。
汚れを落とすのを前提に技術を選んでいますよね。
しかし、そこに消費者は、きれいになって欲しいけど、風合いも変わって欲しくないという欲求もあります。
ここをどうするか?一番のポイントのような気がします。
この話ねえ、実に核心を得ていまして、同業者同士ざっくばらんに話し合いたいねたです。
いろいろな意見が飛び出してくると思いますが、その議論はきっと後々役に立つはずです。
今日、神戸のほうへ全国大会が開かれていますが、こんな話が出ているといいなあと思います。
投稿: boribori | 2009年7月11日 (土) 17時46分