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他店との違いに戸惑っていた頃。

先日、自己紹介の時に、当店で仕事の基礎を覚えたのがよかったと書きました。
でもそう思うまで時間が必要だったんです。


最初、まったくクリーニングのことは分からず、ただ言われたことを黙ってやるだけですよね。
昔気質の職人の集まりですから、当然仕事に対しての説明はありません。
注意されることは多々あっても、どうしてそれがいけないのか?説明などないのです。


これには当然反発しますよね。(笑)


こちらもいい加減に仕事を覚えたくないし、きちんと理解して仕事をしたい。
なのに説明すらしてくれないことに、怒りを覚え、うちの仕事に猜疑心を持ち始めました。


それでも、お客様に、一伸さんで洗うときれいになると言われたり、他のお店と糊が違う、よそとまったく違うと言う言葉に、そうなのかなあと思いもしていたんです。


お客様がおっしゃるんですから、絶対違うんですよね。
いろいろなお店をご利用されて当店に落ち着いておられるんですから。


そんな中、クリーニング学校へ通い始めます。
クリーニング学校って面白くて、みんな初心者じゃないんですよね。
中には数年クリーニングの仕事をしていて、すでに仕事が出来る人なんかもきています。
ですからスタートラインが同じではないんですね。
いろいろな人がいる中で、話をしていると、あれ?と思うことがしばしばあるんです。


まだ何も分からないからいろいろ話しますよね。
洗いのことやアイロンがけのことなど、
すると、それじゃおかしくなるじゃない?と言う会話が出てくる。
そこでまた不思議に思うわけです。


うちのクリーニングってどこもやっている当たり前のことじゃないのかな?って。

授業が進み、また自分で勉強を重ねるうちに、だんだんとわかってくるんです。
うちの仕事は的を得ている仕事だって。


一番の違いは、洗うために仕事をしているか、着る為に仕事をしているかの違いでした。


大体話を伺っていると、どこのクリーニング屋さんも洗うために仕事をしている、
すべては洗い優先なんです。
汚れを落とすためにクリーニングを利用するので、それ自体間違った方向性ではないのですが、洗いの事が最優先されると、ほころびも見えてきます


服って、たとえ汚れが落ちていたとしても、色が褪せたり表面が変化したら着たくないじゃないですか。
でも、洗うこと、汚れを落とすことに専念している業者さんはどうもその辺が分かっていない様子。
一番驚いたのは、カシミヤのコートの話だったんです。


うちではカシミヤはカシミヤでしか洗いませんし、乾燥工程もかなり気を使い自然乾燥をしています。
硬くしないため、表面の風合いを変化させないためです。


しかし、ある友達と話をしていると、全部一緒に洗うと平然と言うんです。
そして、乾燥機でまわしても平気だよ、なんてあっけらかんと言うんですね。
これ聞いて、本当にびっくりしました。
この変化に気づかないなんて、いったいどういう意図で洗っているんだろうか?と思ったんです。


また、クリーニング屋さんの工場見学に行ったときも、その洗い方にびっくり。
本来なら、色物で分けたり、生地の硬さなどで分けたりして洗うのがいいと思うのです。
なのに、見学先では、どれもこれも一緒にどかん!とドライクリーニングの機械の中へ。
それ見て、また口があんぐり。
心臓が止まるかと思いましたもん。


そんな経験をしていくうちに、自分のお店の意図が見えてきたんです。


ただ洗うのだけが目的ではない。
汚れを落としつつ、出来る限り変化を少なくし、色もきれいなまま、クリーニングする。


これはちょっと気にしているクリーニング屋さんならどこも同じ事を言うはずです。
私には口で説明をしてくれませんでしたが、勉強するうちに方向性が見えたんですね。


仕事って、最初の導入部分ってとても重要だと思います。
そういう意味で、お客様が洗うと言うことの意味を考えた当店のクリーニングを最初に経験できたのは、今思うと幸せだったのかもしれません。

実は、これには少し前にある話があります。


私がまだ学生だった頃。
メーカーさんとうちの両親が話をしていたんだそうです。
私をクリーニング屋にするのなら、修行に出さないとだめかなっって。


クリーニング屋さんの勉強をするのに、他のお店に行って修行をするのはごく当たり前のことでした。
私が子供の頃は若いおにいちゃんが修行に来ていましたしね。
ですから、私も二、三年修行するほうがいいと思ったようなんですね。


ところが話をしていたメーカーさん、何を思ったのか止めときなさいと、言ったらしいんです。
どうしてか。


他のお店でうちのようなクリーニングをしているところがないからなんですって。
他のお店で変な癖をつけて来られるなら、自分のお店で育てなさい、と言ったんだそうです。


メーカーさんはいろいろなクリーニング屋さんを回っています。
その方が一伸はよそと違う、と太鼓判を押してくれ、自分で育てろと言ったことには大きな意味があったんでしょうね。
多分、その頃にはクリーニングがだんだんと崩れてきていたのかもしれません。


私がついていたなあと思う、出来事のひとつです。


一伸ドライクリーニング店 
カシミヤ・アンゴラ専門店 カシミヤクリーニング.COM
東京都府中市住吉町2-17-13
工藤隆史
TEL 042-362-6470
定休日 日曜日
営業時間
朝8:00~夜10:00
★宅配も随時受け付けております。お気軽にお問い合わせください。
集配エリアはこちら。

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コメント

こんにちは、boriboriさん!

クリーニング屋さんにもいろいろあるのですね
家庭でも色ものは分けるのは当然と思っていたのですが…

仕事の基礎をどこで覚えるのかが、その人の人生を左右すると言ってもいいと私は思います

メーカーさんはいろんなお店をみてこられているので、どこのお店がちゃんとしているのかよく御存知ですよね

もしかしたらメーカーさんがboriboriさんのお店が修業先として誰かに推薦されるかもしれませんね

投稿: 今日もイキイキ | 2009年9月 9日 (水) 10時21分

今日もイキイキさん、まいどです。

そう、クリーニング屋さんも千差万別です。
クリーニング屋さんにもいろいろありますからとか、技術に差があります、と言ったことはこうしたことの積み重ねで差が出てしまうのです。


プロだからちゃんとやっているだろう、と言うのはあまり当てになりません。
特に、クリーニングに限らず、今の商売は、簡素化し、パートさんやアルバイトなどの経験の少ない人たちで回せるような体制にしているところが多いので、極端に結果に差が出てしまうと思います。
だから、選んでくださいね、と皆さん口をそろえていうんです。

昔ならメーカーさんから来ましたが、今はもうそんな時代でもなくなってきてしまいました。
丁稚奉公なんて言葉、もう無くなりましたから。

メーカーさんも厳しいようで、これから先ちょっと不安です。

投稿: boribori | 2009年9月 9日 (水) 11時42分

ご無沙汰しております

いい話ですね~。

職種は少し違いますが、
うんうんとうなずく部分が多かったです。

投稿: なをし屋 | 2009年9月11日 (金) 12時06分

なをし屋さん、まいどです。
ご無沙汰しております。

多分、しっかりした仕事をされていた方は似たような経験を持つのかなあと思います。
職種の違いはあれど、みんな同じなのかもしれません。

またお会いしたいですね。
きっと機会があると思うので、その時はよろしくお願いいたします。

投稿: boribori | 2009年9月11日 (金) 14時58分

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