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服は呼吸しません。

先週の土曜日、日テレ系の番組、世界一受けたい授業の中で、クリーニングの時についてくるカバーについての話が出ました。

クリーニングから返ってきた服に透明なカバーが付いているが外した方がいいのか?

この問題は、消費者の皆さんの間でもいろいろな話が出ていると思います。
外した方がいいのか、外さない方がいいのか、果たしてどちらがいいのでしょうか?


番組では、神戸大学大学院教授の石川雅紀 教授という人が出てきて、いろいろなものの保存の仕方を説明していました。
最後の方になって、衣類のしまい方の説明になったんです。


防虫剤の効果的な使い方は?


防虫剤は空気より重いので、仕舞う服の一番上に置き、服は少し間隔をあけてしまうのが良い、といっていました。

これは正解。


防虫剤をいろいろなところへ入れるよりも、全体にいきわたるように上の方におき、間隔をあけてあげるといいんです。
付け加えるとすると、防虫剤を入れたら、次のシーズンまでクローゼットは開けないほうがいいですね。
開けるたびに防虫剤が外へ逃げていきますので、効果が出にくくなります。
また、除湿剤も併用しているとなお良いでしょうか。

そして、次が問題。
クリーニングから返ってきた袋を外した方がいいか?という問題に、なんとこの石川教授はこう答えたんです。


服は呼吸をしているので、カバーをかけているのは良くない。

私ねえ、この話を聞いて愕然としたんですよ。
大学院の教授ですよ、それがこんなとんちんかんな話をするなんて、本当にびっくりしました。
先ほどの防虫剤の話は理にかなっていたのに、突然服が呼吸するなんて・・・。
いったい、どこからそんな話を仕入れてきたんでしょうか?


そして、こう続きます。

繊維は生きている間は呼吸をしているが、服になっても同じで呼吸をしている。
袋を取らないと、呼吸が出来ずにカビが生える原因に。

汚い言葉を使って申し訳ありませんが、嘘はつかないでください、といいたい。
何で消費者を惑わすような話をするんでしょう?
このようなおかしな話を消費者が信用し、その結果、カビが生えることがあったら、石川先生、もしくは日テレさんは責任を取れるんですか?

クリーニング後の袋を外すかどうかという話は、クリーニング屋さんの中でも誤解をしている人が大勢いらっしゃいます。
これは本当にまずい話だと思っているんですよね。


服は呼吸なんてしません。
呼吸というのはおそらく湿気の事を指しているんだと思うんです。
湿気って出入りするんですよ。
それがカバーをしていることで、はいった湿気が出にくくなり、カビが生える、とそう言うことを言いたいんだと思うんです。


その湿気の出入りのことを、呼吸、というんでしょうが、どう聞いても何回聞いてもおかしいと思うんですよ。
というのもね、本当に呼吸なら、しなければいけないと思うんですが、湿気の出入りとなると話は別。


湿気は出て行ってほしいし中には入って欲しくない、これが本音なんですよね。


つまり、袋の中が湿気が少ない状態なら、その状態をキープルする方がいいわけです。
ですから、吐く必要はあるけど、すう必要は無い、ということで呼吸ではない、という事なんです。

そもそも、クリーニングの袋を外した方がいいといったのは、おそらく大手チェーン店だと思うんですよ。
湿気がこもっているので外して日陰干ししてからお仕舞いください、なんてよくアナウンスしていますし。
大手チェーン店の言うことはすごくもっともなんです。


理由は簡単。

大手チェーン店では、コストを下げるために、仕上がり後すぐに包装をしてしまいます。
実は仕上げ直後は湿気があるので、袋の中に湿気がこもっていることが良くあるんですよ。
ですから、大手チェーン店でのクリーニング品は、一度干してから仕舞うのが良い、というのは正解なんです。

ただ、ここで問題があるんですね。
それは大手チェーン店とは仕事の内容が違うのに、カバーを外して干してください、というクリーニング屋さんが後を絶たないこと。
これっておかしいんですよね。


大手さんは仕上げ後すぐに包装するので湿気がこもりやすいんですが、個人店や古いクリーニング屋さんですと、仕上がった後、すぐ包装はせず、粗熱や湿気を取るために一晩干します。
その後、包装をするんですが、そう言う仕事をしているところでは、袋の中に湿気は含まれていませんから、外す理由が無いわけです。


つまり、袋を外した方がいいかどうかはクリーニング屋さんの仕事内容にも関係があるんですよ。


消費者はその違いが判りませんから仕方が無いと思うのですが、プロで自分たちで仕事をしているのに、その違いを理解もせず、盲目的に袋は外してください、とアナウンスしているクリーニング屋さんは問題があると思います。

袋を外す理由で、今の家屋は機密性が高いから袋をかけておくと湿気が中に入り込んでカビの原因になる、とおっしゃる方もいます。
でも、それなら袋を外したら、その湿気がもろに衣類へ付くわけでそっちの方が危険性が高いような気もするんですよね。


なら、しっかりと湿気を取った後、袋の上と下を閉じてしまえば、湿気が入り込む余地も無くなり、埃も防げるのでいいんじゃないかな、と思うんですよ。

家庭の中は結構湿気が多いんです。
新築で家を建てていると、コンクリートが乾くまでに数年を必要とします。
また、その家やマンションがたつ前の条件によっても湿気やすいところもあるでしょう。
そう考えると、袋を外してしまうってものすごくリスクがあると思うんですよね。
クリーニング屋さんもアバウトな説明をし、テレビや雑誌でも間違った話が取り上げられる。


本当に不思議だなあと思います。

今回に日テレさんの番組、袋については絶対説明がおかしいです。
きちんと訂正を入れたほうがいいのではないかと思います。

一伸ドライクリーニング店 
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