鵜呑みにするには情報が足りない。
昨日の続きです。
ちょっと内容が消費者向けではなくなってしまうのですが、ご容赦ください。
結果的に消費者の皆様の利益につながると思っています。
クリーニングの袋を外すかどうかについて昨日触れました。
湿気がこもらなければ、外す必要が無いじゃないか。
しかし、よく勉強をしているクリーニング屋さんの中では、おやっ?と首をひねった方もいらっしゃるでしょう。
湿気だけでなく、別の理由で袋を外さなければいけないんじゃないの?って。
ここ数年、ひそかに情報がまわっているんですが、酸化防止剤による黄変が報告されているんです。
消費者の皆さんには分かりづらいですよね。
少し噛み砕いてご説明します。
ポリの袋には、酸化防止剤が含まれているんです。
今までは微量でしたし、悪さをするなんて思いもしなかったのですが、ここ数年、袋から酸化防止剤が溶出し、衣類に付着した後、窒素酸化ガスなどと接触することで黄色く変色する、という事故がおきています。
袋をかぶせておくと、酸化防止剤が付着し、黄色く変色する可能性があるので、外した方がいい、という人がいるんです。
ガスなんて目に見えませんからね。
ガスが防ぎようが無いので、袋を外してしまえばいい、という事らしいです。
確かにこれ聞いたときは外さなきゃいけないかな?と思いました。
ところが、です。
この情報、調べれば調べるほどおかしい事が多いんです。
まず、酸化防止剤による黄変の事故例をあまり聞かないんです。
友人に連絡をし、聞いてみても、変色の事例をを起こしたなんて聞いたことがありません。
確かに、そういった情報が集まるところではあることはあるんですが、もし袋に配合されている酸化防止剤に問題がるのなら、もっと多くの事例があってもいいはずなんですよ。
消費者の皆さんが全員律義に外しているとも思えない。
なら、それ相応の数の事例があってもいいはずなんです。
でも無いんですよね。
次に、袋にそのような欠陥があるのなら、何で袋を購入したときにメーカーが注意として言わないんだろう、と思い、メーカー、資材商などに連絡をしてみたんです。
すると、返ってきた答えに愕然。
なにそれ?ですって。
クリーニング業界では小さいながらもかなり重要な情報として扱われているのに、資材を製造販売しているメーカーが知らないなんて・・・・。
普通は何らかの対策を取った商品の開発などするものです。
でも、開発はおろか、そう言う問題があることさえ知らないときたもんだ。
この情報は、いったいどこまで信用できるんでしょうか?
そして次に、どのようなテスト方法で調べたのか?調べてみてさらにびっくりしたんです。
テストの結果として確かに黄色く変色はしたんです。
でも、袋から、どのような状況で酸化防止剤が流れ出たのかはまったく検証されてないんですよ。
こんな中途半端な情報だったのかと、調べてみてびっくりしました。
こんな感じだったんですね。
酸化防止剤を不織布にたらし、それに窒素酸化ガスを暴露させて、黄色く変色するのを確認した、と。
酸化防止剤と窒素酸化ガスの反応が見られたので、袋は保管に適さない、という事のようなんです。
なんともまあものすごい結論のつけ方です。
これを見て、確かに不向きですね、なんて答え私には出せません。
もう少し因果関係をはっきりさせないといけないと逆に思うんですけどね。
色々と知り合いを通じて情報を集めたところ、こんな話も出てきました。
作りたての袋に起こりがちだ。
正月用とか特定の期間に使う袋は、製造から使用されるまで期間がまもなく、安定していないものもあるんだそうです。
中には、ガスで目がしみるほど強烈なものもあるらしく、それが原因らしいんですよね。
だんだんと様子がつかめてきました。
通常使用している分には事例がほとんど無い。
でも、お正月用とか製造から使用まで間もない袋、特に目がしみるほど強烈なものだと起こることがある。
変色の事故、条件がちゃんとありそうですよね。
闇雲に怖がり、わけが分からないから外してください、というのはやっぱりおかしい。
目にしみるほど強烈なものは、服にかけた時点で、酸化防止剤が衣類へ付着してしまいます。
家に帰ってから外しても、服に酸化防止剤が付着していますから、窒素酸化ガスが暴露されれば、黄色く変色する可能性はあるわけです。
そう言う袋はまず使っちゃいけないって事ですね。
これが外す外さないの前に基本でしょう。
そして、その次は、どのようにして酸化防止剤が溶出するか?その原因を探る必要があります。
そこが分かれば、もっとはっきりと外していいか悪いか?自信を持ってお客様に伝えることが出来るんじゃないでしょうか。
個人的には、色々話を聞き、情報を集めた感じだと、通常は大丈夫だと思います。
ただ、その裏づけとして、知りたいっていうのはあるんですけどね。
きちんとしたところから流れてきた情報ですから、一瞬、そのまま信用しちゃいそうなんですが、ぐっとこらえて、その話に信憑性があるかどうか、きちんと自分なりに考えないといけないんでしょう。
少なくとも、私たちクリーニング業者はプロであり、お客様と直に接し、正しい情報を伝えてあげることが出来る、最後の砦なわけです。
お客様が安心してクリーニングし、保管をし、また次のシーズン着ることが出来るように、正しい事を伝えてあげるべきだと思います。
何べんも書きましたが、改めて書きます。
クリーニング屋さんも、もっと賢くならないといけません。
時代が変わり、服も環境も変化してきていることをきちんと考え、それに対応する必要があります。
旧態依然のままだと、お客様にそっぽ向かれてしまいます。
改めて、今までの常識を疑いましょう。
それが出来るだけの知識を私たちは持っているはずです。
一伸ドライクリーニング店
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