白っぽくなるのはなぜか?
衣類が傷む、という言葉をよく聞きますが、正直言いまして、私たちクリーニング屋さんからすると結構アバウトな表現で分かりづらかったりします。
傷む・・・・・、どの状態を言っているのか?
洗ったら傷んだ、という方がいらっしゃいますが、どこか切れたり破れてしまった状態のことを言っているのか、別の状態の事をいっているのか、その真意はなんだろう?といつも頭を悩ましています。
傷んだ、という状態を見せてもらえば判断も付くんですが、残念ながら傷んだという状態を見せていただいた事はありません。
傷んだら嫌だから・・・・・、という可能性の話なのかもしれませんけど。
傷むという表現に近い状態で一番先に思いつくのが、白化かなあと思うんです。
どういった状態かといいますと、文字通り、白っぽく見える事を言うんです。
一番想像しやすいのは何でしょうか・・・・・・、濃紺のTシャツやジャケットなどが、うっすらと表面が白っぽく見える感じ。
いい感じの発色が、だんだんと古着のような感じになっていく、というと分かりやすいでしょうか。
ジーンズ系の生地は違いますよ。
あれは染色そのものが落ちやすいので、本当に色が抜け落ちています。
この白化という現象、どんな繊維にでも起こるものではないんです。
ある特定の繊維に起こりやすくなっています。
それは、植物性の繊維。
白化のメカニズムは、スレなどにより、表面に細かな毛場が立ち、白っぽく見える事を言うんです。
つまり、白っぽく見えるからといって、色が抜けたというのではないんですよね。
イメージとして、草などがささくれ立つ、といった感じかな。
だから、繊維質な植物性の繊維に多いんです。
綿、麻、レーヨンなどで起こります。
これらの繊維で出来ていて、濃色系は注意が必要。
よくテレビや雑誌などで家庭で出来る染み抜きを紹介しているものに、こすらないで叩いて落としてください、とあるのはこれが理由です。
こすってしまうと、綿製品などでは表面に毛羽が立ち、白っぽくなってしまうから。
だから、叩いて落としてください、と表現しているんですね。
綿や麻、レーヨン、の扱いはこれがあるので実はとても難しいんです。
特に綿は、誰でも手に入るし、Tシャツなどでも分かるように身近な存在ですから、簡単に考えがちですが、私たちクリーニング屋さんから見れば、決して簡単な素材ではないんですね。
さて、白化という現象が起こってしまったら、もう直らないのか?というと、そういうわけでもないんですよ。
原因は先ほども書きましたが、表面に出来た毛羽のせいで白く見える、というもの。
実際色が落ちているわけでもないのでこの毛羽を修復すればほぼ復元できます。
クリーニング屋さんでも、この白化を直してくれるところもあるんです。
というか、今までお客様に言わないで黙ってやっているところが結構あるんですよ。
長い間着用してきて、段々と白化を起こしてしまっている衣類を、直せばまた着られるから・・・、とやってくれているとてもいいクリーニング屋さんがあちこちに存在しています。
やっといたよ、って一言声かけてもいいのになあと思うんですが、そこは恥ずかしがり屋さんなのかな?(笑)
家庭での綿製品の染み抜きは注意が必要です。
心配なら手を出さずにクリーニング屋さんに持ち込みましょう。
また白っぽくなってしまってお悩みの方がいらっしゃいましたら、一度お近くのクリーニング屋さんに相談してみてください。
お店によっては修復してもらえると思います。
一伸ドライクリーニング店
カシミヤ・アンゴラ専門店 カシミヤクリーニング.COM
東京都府中市住吉町2-17-13
工藤隆史
TEL 042-362-6470
定休日 日曜日
営業時間
朝8:00~夜10:00
★宅配も随時受け付けております。お気軽にお問い合わせください。
集配エリアはこちら。
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コメント
boriboriさん こんにちは
いつも役に立つ情報をありがとうございます
私も昔は同じようなことを思っていました
洗濯をすると傷む…(衣類の寿命が短くなる)
私の場合、洗剤を使い分けていなかったのが理由の一つであることを6年ほど前に職人さんに教えてもらいました
黒っぽい衣類も蛍光増白剤などが入っている洗剤で洗っていました
洗濯する毎に色が変わったように見えてしまいますよね?
今はいろんな成分が入った便利な洗剤ができていますが、
もっとシンプルな洗剤があったらいいのにな~と思います
投稿: 今日もイキイキ | 2010年11月26日 (金) 08時24分
今日もイキイキさん、まいどです。
なるほど、傷むという事は、衣類の寿命が短くなる事をさすんですね。
物凄く納得!
でも、それならなおさら洗わないと駄目だ。
ここが昔と今の一番の違いかもしれません。
長持ちさせるために洗うのと、長持ちさせるために洗わない。
ここを理解してもらう必要があるのかもしれません。
蛍光剤のお話、よく勉強されました。
今は蛍光剤なしの洗剤を見つけるほうが難しいでしょうね。
おしゃれなお店に入って、ブラックライトに照らされると、皆さん青光りします。(笑)
蛍光剤の影響です。
蛍光剤はつくだけが怖いってわけでもないんです。
一部分だけ蛍光剤が取れてしまうと、そこが色が変わって見えるためシミに見えてしまいます。
その辺も注意が必要です。
シンプルな洗剤って、意外と使いづらいものですよ。
手間が物凄くかかるんですね。
こういう話をしていると、改めて白さってなんだろう?と思います。
そして、結構真っ白でなくても着れちゃうと言うのも真実なんですね。
奥が深い話です。
投稿: boribori | 2010年11月26日 (金) 15時40分