直してもう一年。
当店で修理をお願いしている方がいらっしゃいました、
かけはぎ、と言うとても難しい技術をお持ちで、当店から依頼する事があるんです。
かけはぎって、穴とかをふさぐ技術なんですが、これがすごいんですよ。
穴をふさぐと言うとどんな事を想像されますかね?
後ろから貼り付ける、そんなイメージでしょうか。
かけはぎってね、穴より大き目の生地の四隅から一本一本糸を取り出しまして、穴のある生地に織り込んでいくんです。
顕微鏡のようなものを覗き込みながら一本一本柄をあわせての緻密な作業。
高い技術力が無いと出来ないものなんですね。
貼り付ける修理だと、はっきりと穴が分かるんですが、このかけはぎで修理をすると、穴が分からなくなるんです。
そのかわり、緻密な作業ですから物凄く高い。
技術料だから仕方ありませんね。
当店へきたのは、修理ではなく、自分の息子さんの品物を持ってきてくれたんです。
こういう修理屋さんは、周辺のクリーニング屋さんの修理を一手に担っていますから、その中からうちを選んでご利用くださるというのはとても名誉な事なんです。
色々なクリーニング屋さんの仕上がりを知っている人ですからね。
今回お持ちになったのは、ズボン。
よく見ると、所々修理がしてあります。
ようやく終わったのよ、これであと一年は着る事が出来るわ。
にっこり笑ってそうおっしゃるんですね。
見てみると、ポケットの周辺を修理しているようです。
服が傷むと言うのは、大体決まっているんです。
よくすれるところ、なんですね。
ポケット周辺、後ろのポケットのあたり、ももの辺り、後ろのももの辺り、裾。
こういうところからほつれたり破れたりしていくんですよ。
息子さんのズボンも、ポケットのところがかなり傷んでましたが、さすが職人!という仕事で、きっちりと修復されていました。
すごいな、と思ったのが、生地が足りないところもあったんです。
そこを、別の目立たない場所から生地を取ってきて、しっかりと直してしまう。
生地を取ったところも直したところも、元からそうなっていたかのような雰囲気。
修理したと言わなければ誰も気付かないような、そんな仕事です。
やっぱり技術ってすごいですねえ。
着れない物がこうして着れる様になっちゃうんですもの。
そして、あと一年とおっしゃっていましたが、まだ数年は着る事が出来ると思います。
自分の息子さんのなので、修理代はかかっていませんが、仮に修理代をかけたとしても、買うよりは全然安い。
これで後数年スーツを買わなくて済むと考えれば、修理ってとても安いなあと思うんです。
皆さん、スーツ直して着ていますか?
ちょっと傷んだり、ほつれたりしただけで捨てたりしていませんか?
スーツは直せます。
それも、キレイに。
今の時代、スーツは安いから・・・・、とおっしゃるかもしれません。
でもね、それでもやはり修理の方が安く上がるんですよ。
それに、安いスーツを着ていられるのもそう長くはありません。
年をとるとともに、それなりのものを着なければならなくなります。
無駄な出費をする事ありませんから。
直せるものは直して着ましょう。
ものを大事にするっていいことだと思います。
一伸ドライクリーニング店
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