ここ数年、僕なりにあるテーマに沿って色々とやっていました。
そのテーマは、お客様はクリーニングがわからない、と言うこと。
分からない、と言う言葉にも色々ありますよね。
仕上がりの差が分からないというのもあるかもしれませんし、クリーニング屋さんの利用の仕方がわからないということもあるのかもしれません。
でも僕はそれ以前に、クリーニングを何でしなきゃいけないのか?する必要があるのか?という事がそもそも分からないのかもしれないな、と思っているんです。
この話を、数年前から同業者に話をして見るんですが、まあほとんどの人が理解できません。
だって、洗うのが当たり前だと思っているんですから、分からないという事がまず理解できない。
汚れたら洗うでしょう?と言うのが普通だと思っているんですね。
でも、それは普通ではないんですよ。
汚れたら、次に考えるのは、洗うか捨てるか、なんです。
そこでまた着たい、洗おうと思ってから、自分で洗うか、クリーニング屋さんに出すか?と言う選択肢が出てきます。
しかし、クリーニング屋さんにどういうものを出せばいいのか?分からない人もどんどん増えていているようで、ここの選択肢にクリーニングに出すというのも段々はいらなくなってきているのかも知れません。
先日、びっくりするような記事を見ました。
20代がテレビを見ない理由。
昨今、テレビ離れが噂されていて、テレビ業界も色々と手を尽くしているようですね。
その中で、若者がテレビからyoutubeなどの動画サイトに移行し、テレビを見なくなってきた、と言う事実があるようなんですね。
どうして見なくなったのか?
テレビがつまらなくなった、そういう人がほとんどだと思うんです。
でも、記事を読んでいると違うんですよね。
20代の人たちは、テレビで何をやっているのかよく分からない、と言うらしいんです。
見るんだけど、何が面白いのか、何の事を言っているのか、わからない、と。
だから、テレビは見ないで自分が理解できるyoutubeなどにいくんだそうです。
テレビがよく分からない、そもそも分かるものなのか?という話もありますよね。
流れている番組を見て、面白ければ見ていればいいんですから、そんなに難しい話でもない。
何が分からないのか?記事の中ではこう続きます。
テレビの中のタレントを含め、若い人がいなくなり、芸人が話す内容も中年が分かるようなちょっと前の話題が多かったりする。
確かにこれでは今の若い人には理解が出来ないかも、と。
なるほどなあと思いまして。
自分たちは時間を掛けて生きてきて色んなものを見ていますから、当然の知識としてあるわけですよね。
で、それがあるから、理解出来て笑える、と言うことなんでしょう。
ところが、基本的な知識としてない若い世代にとって、前提の知識を踏まえなければ笑えない内容は、何も面白くないわけです。
子供の頃、演歌を聞いていても何もピンと来なかったのと同じではないのかなあと。
いまでは、それなりに人生経験をつんでいますから、演歌の詩の内容を理解できて、いいなあと思ったりすることもあるんですけどね。(笑)
僕らが知っているから、当然誰もが知っている、と言うわけではない、と思うんですよ。
また、こんな話もあります。
世界で有名なコーラ。
大人から子どもまで知っているのに、いつまでもコーラのCMは流れています。
なんでいつまでも流し続けるのか?
それは、どんどん子どもが生まれてくるからなんですよね。
新しく生まれてきた子どもは、コーラの事を知りません。
そういう人たち向けに、CMは流し続けていくんだそうです。
街中、コンビニ、どこにいっても売っているのに、そこまでしなくても・・・・・、と思うんですが、知ってもらう努力を怠ってはいけないという事なんでしょうね。
話を戻しますが、クリーニングって、クリーニング屋さんにとって当たり前のものだったんですよ。
汚れたら洗う、シミがついたら洗う、洗わなきゃ着る事が出来ないんだからクリーニング屋さんはなくならない。
どこかそんな風に考えている人が多いんですね。
で、今、クリーニングを利用されなくなってきているのは、大手チェーン店などの品質が悪くてクリーニングの信用がなくなったからだ、そう考えている人が大半なんです。
果たして品質が原因で利用されなくなってきているんですかね?
もし、そうなら、品質の高いクリーニング屋さん、昔と変わらずに利用されているはずなんですよ。
所が、蓋を開けて見ると、どこも似たり寄ったりの状態になってしまっているんですね。
クリーニングの利用頻度が落ちているんです。
昔の話をして申し訳ないんですが、少なくとも僕がこの業界に入った頃、17年ほど前は、もっと皆さん洗っていたんです。
シーズンが終わればクリーニングに出すし、衣更えが来ると、クリーニングしてから仕舞うのが常識でした。
夏なんかは、こまめにスーツもクリーニングしてましたしね。
今はどうか?
シーズンごとにクリーニングに出すお客様もいらっしゃるんです。
しかし、反面、一年に一回ほどしか洗わない、と言うお客さんが増えてきているんですね。
しかも、お客様のお話を聞いたり、ネット上の話を読んでいたりすると、クリーニングをすると傷むので頻繁に洗ってはいけない、なんていう書き込みがあったり。
先日、カシミヤのストールのクリーニングをご依頼くださったお客様も、カシミヤはそんなに洗ってはいけないとネット上で見たんですが・・・・、とおっしゃっていました。
売り上げの問題ではないんですね。
利用の仕方に変化が起きてしまっている、そこが問題なわけです。
で、クリーニング屋さんが思っているような、品質だけでは片付けられない問題がここにあると思うんですよ。
僕らクリーニング屋さん、クリーニングの利用の仕方を説明した事ってあるでしょうか?
どんなものが洗えるのか?スーツやYシャツ、ネクタイなど、洗えますよってPRはなかなかしませんよね?
どのくらいの頻度で洗えばいいか、アナウンスをしたことありますか?
実はこれ、僕のブログに来る人が検索でやってくる時によく使われるキーワードなんです。
クリーニング屋さんは、お客様にクリーニングをアピールしてこなかった、これが事実だと思うんですよ。
同業他社の批判をして、あそこは悪い、ここは悪い、うちならいいよ、なんていうことしか言わない。
せっかくお客様にクリーニングの事を話しが出来る時に、洗濯の仕方を説明する。
それはそれでお客様が望んでいることなのでしょうが、もっとクリーニングってこういうものだよ、クリーニングをこう利用してください、と言う話を、もっともっと押してきても良かったんではないのかな、と思うんです。
判を押したように、消費者の皆さんと接する機会があると言うと、クリーニングの話ではなくて、洗濯の話ばかり・・・。
そのくせ、クリーニングと洗濯は違います、と言うんですから、ではどういった時にクリーニングを利用すれば、どんな品物をクリーニングに出せばいいかなんて、消費者の皆さんは判らないと思いますよ。
これを裏付けるかのように、統計では20代のクリーニング利用率がぐんと下がっています。
いや、今は30代もか。
これ、5年前は30代まで下がっていなかったんですよ。
これが意味しているものは、20代の頃にきちんとクリーニングの利用の仕方を教えることが出来なかった世代が、そのまま年を重ねていっているということだと思うんです。
ある人はいいました。
若い頃はお金がないからね、もう少し稼ぐようになったらクリーニングに出すようになるよ。
いえ、出しませんよ。
だって、出す理由がないんですから。
出すと傷むと思っているんですから、クリーニングに出すこともありません。
僕、クリーニングはここ数年すごい勢いでレベルが上がっていると思っているんです。
同業者の話を聞いていると、勉強会に参加し、技術を上げ、今までは出来なかったようなサービスを展開しているクリーニング屋さんが全国的に増えているんです。
ブーツのクリーニング、バッグのクリーニング、しみ抜き、どれもこれもすごく進歩しています。
だからこそ、余計おかしいと思うんですよ。
これだけ技術が上がっているのに、いつまでたってもクリーニングがきちんと理解されていないって。
それは、僕らはきちんと伝えてこなかったから、そこに尽きると思うんです。
お客様の要望にこたえるために、技術がなければいけないのは当たり前。
それが僕らとお客様の関係の根本を支えています。
でも、技術の自慢ばかりでは、クリーニングの必要性、何でクリーニングしなければいけないのか、と言うお客様の素朴な疑問に答えられません。
若い世代にも、いや今いる人たち全体に、クリーニングをもっと知っていただく努力をしていかないといけないなあと思うんです。
業者目線の言葉ではなく、お客様目線の言葉で。
クリーニング、なくなるかもしれませんよ?
こんな事を言うと、服は着れば汚れるんだから、洗わなきゃ着れないんだから、なくなるはずないよ、と笑われてしまいますが。
銀行だって、潰れないと言われて潰れたんです。
コーラだって、日々努力をしているんです。
他の業種に比べても零細どころの多いクリーニング業が、なくならない理由なんてどこにもありません。
洗剤メーカーだって、洗濯機メーカーだって、生き残るために必死に色々開発をしてきます。
汚れた服を見て、どうしていいか分からなければ、テレビのCMで流れている洗剤や消臭剤をパパっと振りかけてきれいにしたつもりになっちゃいますよ。
僕らは、そことも戦わないといけない。
これだけ技術の研鑽に努力しているクリーニング屋さんですから、少し視点を加えて、クリーニングの利用の仕方や必要性を織り交ぜてPRできたら、すぐに効果が現れると思うんですよね。
業界人がこれを読んでいるかは分かりませんが、何かのきっかけになればいいかなと思います。
今日は、お客様向けの内容ではありませんでしたね。
でも、クリーニング業界がもっと良くなることはお客様の利益に繋がります。
クリーニング屋さんをガンガン叱咤激励してやってくださいね。
一伸ドライクリーニング店
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