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服を見る。

僕らの仕事は、服を見ることから始まります。

お客様がクリーニングにお持ちになった時に、たいていの方は何も話してはくれません。
どこで買ったとか、いくらで買ったとか、どれくらい着たかとか、どこに汚れがあるか、とか。
また当然服もそんな事は話してくれません。(笑)
たまに、お客様に質問をすることもありますが、それは何か問題があるときで、質問をする為にも僕らがその服をよく見る必要があるんです。


クリーニング屋さんは、服を見て、感じ取らなければいけないんです。

何で感じ取らなければいけないのか?

有名なブランド、いくつもあります。
でも、もしそれが偽物だったら?
あきらかにニセモノと分かればいいですが、そうでなかったとき、不具合が分からなければ事故が起きてしまいますよね。

もちろん、僕らの仕事はブランドの真贋を判定することではないので、本物か偽物かはさほど意味はなさないんですけど。

また、有名でないブランドの中にも非常に高価なものもあります。
値段よりも、高価な理由としてつくりの違いなどを把握する必要があるわけです。


このように、自分が知っている知らないにかぎらず、また本物か偽物かに限らず、僕らはクリーニングに出てきたら、洗わなければいけないんです。
クリーニングする時に、名前なんてたいした意味は持たなかったりします。

それより大事なのが、作りや素材、質感なんですよね。


そこから得られる情報が、どのように洗うか、どんな風に仕上げるか、と言う方向性を決めさせてくれるんですよ。


素材も同じ。
綿と書かれていても、綿だって千差万別。
取れた地方が違えば性状も違うし、撚り方編み方の違いはかなりの差を生みます。
綿と書かれているから、こういう洗い方で大丈夫、そんな事はないんです。


分かりやすい例が、ウールの縮み。
ウールの縮みには、揉み作用、水分、熱、この三つが必要で、この三つが合わさると縮むんです。
ところが、ウールと書かれているにもかかわらず、この三つがそろわなくても縮むことがあります。


厳密に言うと、この三つがそろってしまっているから縮んでいるんですが、普通のウールなら問題のない洗い方だったのに、繊細に出来ていた為にほんの小さな力でも縮んでしまう事があるんです。


こういう事故を防ぐ為には、服そのものをよく見なければいけません。
ブランド名や、商品名では、見抜けないんですよ。
服を見て、違和感を感じ取らなければ、安全にきれいに洗う事が出来ない、と言うわけです。

僕らは、国家資格のクリーニング師と言う資格を取る時に、繊維の勉強などを一通りやっています。
素材の知識はあるわけです。
また、ブランド名も、有名ブランドはたいてい知っています。


しかし、現場では、ブランド名や素材の知識は参考にはなれど、それが一番大切、と言うわけではないんですよね。
あくまでも参考に、目の前の服をよく見て、触って、感じ取って、洗わないと。


では、どのようにして感じ取っているのか?というと、そこはもう経験でしかないんですよ。
繊維の知識、服の知識がある上で、たくさんの服をさわり、洗い、仕上げ。
そこで得た経験の中で、違和感を感じ、分別をしていくわけです。


この感覚が研ぎ澄まされていると、知らないブランド品が出てきても、有名ブランドの偽物が出てきても、ブランド品でない問題のある服が出てきても、感じ取って別の洗い方で対処が出来るようになるわけですね。

ブランドの名前に頼っていたら、安全に洗う事は出来ないかもしれません。
それほど、日頃から、感性を磨く必要があるわけです・・・・・。


何で今日突然こんな話をしたか?といいますと、僕がお世話になっている湯江鍼灸接骨院の先生と話をしていたんですよ。
すると、こんな話になったんです。

治療をしていると、骨が一つ多かったり、あるはずのない筋肉があったりすることがある。
骨格図や人体模型などは頭の中に入っているけど、あくまでも参考に。
目の前の患者さんの体からの情報が一番で、それにあわせて治療をしていくんです、と・・・・。


なるほど、うちらと同じじゃないか、と思ったんですよ。
そして、改めて、知識はあくまでも参考に、仕事は現場で目で見て、が基本だなあと思った次第で。
昔、よく言われたなあ。教科書読んでも意味ないぞって。
多分、こういうことだったのかもしれませんね。


でも、骨が一つ多いとか、筋肉が多いとかって、さすがにちょっとびっくりしました。
普通にある話らしいですよ。
まあ、僕らの仕事の話も、お客さんが聞いたらびっくりすると思いますけどね。

ある意味、イレギュラーがあっても、対応しちゃうので、お客さんは気付かないっていうだけで。
日本のクリーニング技術もすごいんだと思います。(笑)


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