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着る前に洗うから、着たら洗って仕舞うへ。

服の基本として、着たら洗って仕舞う、という大前提があります。


汚れは時間とともに変化をしていくので、変化する前に汚れを落とそう、というのが基本的な考え方なんです。
変化した汚れは落としづらいだけでなく、カビや虫食いの原因になるので、衣替えのときは皆さん洗ってから仕舞います。

今年の秋ころの話。

初めて集配のご依頼をいただいたお客様がいらっしゃいました。

スーツのクリーニングのお急ぎをご希望で、今着るものを洗いたい、というお話で。
前のシーズンに洗ってしまっておかなかったようなんですね。


急ぐのは別にかまいません。
ご希望通りにお届けできますが、しかし、糸の細いいいスーツでしたので、虫食いなどが心配で、お届けにあがったときに少しお話をしたんです。

シーズンが終わったら、クリーニングしてから仕舞うのが基本だという話。
これだけいいスーツになると、洗い方もかなり気を使うので、クリーニング屋さんは選んだほうがいい、という話。


これらに付随する話をしたんです。

ところが。

僕の説明が悪かったんでしょうね、見る見るうちにお客様の顔が不安そうな顔に。
最初は、お届けしたスーツと入れ替えで今来ているスーツのクリーニングをお受けするというお話だったんですが、また連絡をします、という話で、そのまま帰ってきたんです。


情報って、注意情報のほうが多いんですよね。


こうしたほうがいい、ああしたほうがいい、という話の説明には、逆にしないとこうなってしまいますよ、という情報が含まれています。
今まで信用してクリーニングをご利用されていた人には、中には衝撃的な話もあります。


不安にさせたかな?疑われちゃったかな?

なんて思いながら帰ってきました。


結局、それから数ヶ月、ご連絡はありませんでした。
それが先日、お電話をいただきまして、クリーニングの集荷をお願いしたい、と。
お伺いすると、これから着るスーツを急ぎでお願いします、とのお話。


前回同様、お預かりしましてお届けをしました。


・・・・・・、やはりいいスーツなんですよ。
糸が細くて、虫が好むようなスーツなんです。
今までと同じような扱いでは危ないな、と思い、またご説明をしたんですね。


僕も懲りないな、なんて自分でも思いながら。

自分が疑われても、信用がなくなったとしても、言わなければいけないことってあります。
この一言を伝えておけば防げたことだったのに、言わなかったがために虫に食われたりしたら、後悔しか残りません。
一番不幸なのはお客様ですしね。


今回も前回と同じお話をさせていただいたんです。
このスーツはとてもいいスーツなので、洗ってから仕舞わないと虫に食われてしまいます、と。
今シーズン着終わったら是非クリーニングしてからお仕舞いください、と。

すると、奥様から、今着ているスーツはどうしたらいいですか?とご質問が。
クリーニングから返ってきたスーツと入れ替える予定だったようです。

次のシーズンまで着る予定がないのなら、クリーニングしてしまわないとだめです、とお伝えすると、では土曜日に取りに来てください、と。
その言葉を聴いてほっとしました。


クリーニングに出していただければ後は僕らの出番です。
綺麗にして、そのまま仕舞えるようにしてお届けすれば、次のシーズンまで安心していられます。
僕らクリーニング屋さんがしっかり仕事すればいいわけですからね。


これで、スーツが長持ちするな、と思いました。

中々、習慣づいた流れを変えるのは難しいと思います。
クリーニングに出すって面倒だし、洗ってしまっておくと、なんとなく悪くなるようなイメージがあるし。
着る前に洗うほうがきれいなようなイメージがあると思うんです。

でも、本当はその逆で、洗ってから仕舞うほうが断然いい。
理解して実行に移してもらえて本当によかったと思いました。

これから、このお客様のおうちでは、着る前に洗うから着たら仕舞って洗うに変わっていくと思います。
この変化が充実した衣生活の第一歩となりますよ。


常に安心して着る事ができるようになります。
本当によかったなあ。


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