クリーニング屋さんの包装のビニール問題。その2
クリーニング屋さんから返って来た包装にビニールの問題の話の続きです。
袋を外すか?外さないか?どうしてこう議論になるか?というと、みんな心配なのは、保管時の湿気なんですね。
保管の最中に、湿度が高くなりすぎると、カビが生えてしまいます。
いざ着ようと思ってカビが生えていたらショックじゃないですか。
なるべく、カビが生えないように、どう保管をすればいいか?ということでクリーニング屋さんも頭を悩ましているわけです。
すこし、分けて考えて見ましょうね。
保管のときに考えなければいけないのは、主に次の三つ。
服が汚れていないか?
服が湿気ないか?
保管場所が湿気ないか?
一つ目はクリーニングから返って来た後の話なので、割愛。
問題は二つ目なんですね。
袋をかぶせておいた方がいいのか、悪いのか。
袋を外すと、どうなるか?
保管場所の影響をもろに受けることになります。
保管場所の湿度調整をちゃんとしていただければ、僕も袋を外すことに異論はありません。
問題なく外してもらっていいと思うんです。
が。
僕の今までの経験上、保管場所の湿度管理って結構難しいと思うんですよ。
物をしまう場所って、あまり換気が出来る場所は多くなくて、しかも、人が生活をしているだけで、家の中には湿気がかなりこもります。
しかも、雨が降ったりするだけでも、湿度の変化は激しいし。
もし、服をしまっている場所自体の換気がうまく出来ないようなところだったら。
袋を外すほうが、余程危険だと思うんですよね。
それを裏付けるように、こんなことがよく起こります。
突然お通夜が入り、礼服を取り出してみたら、かびていた、大急ぎでクリーニングしてください、とお持ちになるんです。
礼服を見てみると、ある一定のラインから下だけがかびている。
女性モノのワンピースの礼服に一番多いでしょうか、ひざから下だけがかびていることがよくあるんですよ。
どういうことか。
このカビが生えているところから下に湿気がある、ということなんです。
このように、しまう場所の環境がうまく整えられないと、ビニールの袋を外すことも脅威になりかねないんですね。
これは、不織布の袋を掛けてても同じ事が起こります。
よく、通気性が良いので、といいますが、通気性がいいということは、湿気が出るけど入っても来る、ということ。
保管場所の環境が悪ければ、出るよりも入るほうが多くなり、結果カビの危険度は増していきます。
保管に関して、通気性のことを言う人がいますが、袋のことだけ考えているからそういう結論しか出てこないんです。
仕舞うと言うことは、袋の問題だけではないんですね。
あらゆる問題を考慮して、袋が必要なのかそうでないのか、考える必要があるんです。
包装のビニール袋ひとつだけのことを考えているようでは、真実にはたどり着けません。
では、包装をしたままだとどうなるのか?
包装をしたままの状態でも、かなり環境が違いますね。
ハンガーの根元の部分が開いてますし、下のほうを閉じていなければこちらもあいたままになります。
すると、ここから湿気が入ってくることは十分考えられるんです。
では、両方とも閉じたら、どうなるか?
中の湿度が安定するんですよ。
気温によって多少の前後はしてしまうのですが、安定するんです。
雨が降っても、急激に上がることはないし、ほぼ安定。
保管場所の環境を整えられないのなら、袋の中の環境を整えるほうが余程安定的に保管が出来ると思います。
ただし!
袋を掛けたまま、保管をするには、きちんとそれようの処理をしているお店でないとだめです。
仕上がった後、適度に湿度を抜き、きちんと包装をするようなお店でないとそのまま仕舞う事は出来ません。
たとえば、当店では、雨の降っている日には包装はしないんです。
以前、雨の降っている日には基本お届けしませんと書いたことがありますが、それだけではないんですよ。
雨が降って、湿気が多いなと思った日は包装もしないんです。
袋の中に、湿気がこもるのが嫌だから。
また袋の中に湿気が入らなくても、仕上がった服が湿気を吸収していることもあります。
それが、後日、袋の中で乾燥して袋の中の湿度があがるのも嫌ですから、なるべく乾燥している日を狙って包装。
皆さんのおうちの環境がいろいろで分からないですから、うちで出来ることは出来る限りやろうと思っています。
以前も書いたかなあ、この湿気の問題に関して、今当店でテストをしています。
特殊な機械を使いまして、袋の中の温度と湿度を、1分ごとに1週間計測しているんです。
環境や条件を変えながら、いろいろなテストをしています。
テストをしているから、業界内で当たり前のようにささやかれている話におかしくないですか?といえるわけで、本当はもっと多くのクリーニング屋さんで検証をしてみたいなあと思っています。
ちょうど今、変わる時期だと思うんですよね。
常識といわれてきたことが、現実とあっていないことが多々見受けられます。
一つ一つ、検証をして、なんとなく伝えられてきたような常識ではなく、きちんとした裏づけのある常識を作り上げていきたいなあと思いますね。
この二日の話をまとめましょう。(笑)
クリーニングから返って来たビニールの袋は、クリーニング屋さんで外したほうが良いかどうか、聞いてください。
お店によって、違いがあります。
袋を外した場合、保管場所の環境に注意してください。
湿度が高くならないように、時折、喚起したり、除湿剤を入れたりしてください。
今着ている服とクローゼットが同じなら、湿度に要注意です。
着用していた服には湿気がかなり含まれています
次のシーズンまで、安全に保管が出来ますように。
一伸ドライクリーニング店
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