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「一度お持ちください」の本当の理由。

クリーニング屋さんい問い合わせると、決まって言われる言葉があると思います。


一度お持ちください。

ちょっと気になったので聞いてみただけなのに、とか、持っていくほどの話ではないのに、とか。
なのに、なんでわざわざ一度来いなんて言うの?と疑問に思う方もおられると思います。

お店に行ったら引っ込みがつかなくなってクリーニングに出させられるんじゃないか?
他のクリーニング屋さんのものだし、自分の身元もばれるのが嫌だし、そもそも行きたくないんだけど・・・・・。
こんな風に考える人もいそうですね。


そもそも、なんでクリーニング屋さんは、一度お持ちください、というのか。


ぶっちゃけて言いますね。


説明がとても面倒くさいんです。
口で説明するよりも、その場で品物を見て説明をしたり、実際にやって見せたりした方が早いので、お持ちください、となるんです。


仕事でやっていて面倒くさいとは何事だ、と思うんですが、これにもいくつか理由があります。


ご質問をされるお客様は、早い話、答えだけ聞ければいいんですよね。
洗い方やしみ抜きの仕方、どうすればいいか?方法だけ簡潔に知りたいわけです。
でも、皆さんが思うほど、洗濯やしみ抜きって簡単ではないんですよ。

僕らが当たり前のようにやっていることは、その作業の中でいろんな事を考えながら作業をしています。


同じようにアイロンを動かしていても、同じように洗っていても、その中でいろんなことを加味しながら、どれが最適か、どれをやっちゃいけないか、判断しながらやってるんですね。


簡単に、やり方教えてよ、と言われても、色んな判断の上でやっているので簡単ではない、という事なんです。
で、その判断の理由や、条件などを事細かに説明をしても、普通に人にはわかりません。
また、作業工程で、これをしてあれをして、と言っても、プロの言葉は一般の人にはわからないんですね。
それをわかるように説明を始めると、5分で済むような説明が一時間たっても伝わらない、という事がよくあるんです。


でもこれが、実際に目の前でやって見せると、5分もかからないで理解できたりします。
なので、お持ちください、となるんです。


また、ご質問を受けるときに、僕らが実際の品物を見ていないと正確なお話が出来ない、というのもあります。
お客様のお話は、嘘は言っていませんが、正しくはないので・・・・・。
以前、普通のスーツです、と質問され、それなら大丈夫ですね、とお答えしたら、シルクで出来たスーツでとても苦労したことがありました。

僕らが重要視しているポイントと、お客様が感じるポイントが違うので、行き違いが起きてしまうんですね。
これが、後々大きな問題になると困る、という事もあるので、お持ちください、となります。

この、説明が面倒くさい、というのは、おそらく職人気質から来ているものと思われます。


僕らがクリーニングを教えてもらうのに、説明を受けてない友達はたくさんいますから。
昔ながらの、見て覚えろ、この世界です。
どうしてこうなるの?なんでこうするの?と質問をしても、黙ってみておけ、見てれば分かる、そういう人が多いのも特徴的です。


僕は、クリーニング学校に通い、みっちりと勉強をしましたがそういう人は少数派なんです。

僕はご質問をいただいて、なるべくお答えするようにしています。
お電話でも、メールでも、じっくりと時間をかけて説明をします。
時には電話が数時間になることもあります。
メールも何通もやり取りすることがあります。
なかなか伝わりづらいですが、電話やメールで全部が伝わらなかったとしても、いつか僕が話した話が何かのきっかけで思い出され、理解するきっかけになってくれればいいな、と思っています。

これ以上、説明するのは難しいな、と思った時は一度お持ちください、と言いますけど・・・・。
その時は、怖がらずに一度お持ちください。

早く解決したいならそれが一番手っ取り早いですから。


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