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一度は通るアイロンの壁。

いま、先輩の所にお弟子さんが通っています。
正確には、弟子は取れないといわれてしまっているのですが、何とか頼み込み見学をさせてもらっているようです。

あ・・・・、クリーニングのですよ?


今クリーニング業界ではほとんどが2代目以降がお店を継いでいるんですが、ほんの少しだけ新規で開業される方がいらっしゃいます。
いわゆる異業種からの参入です。


先輩にお話を伺ったところ、年は僕と同じくらい、すでに1年は他のクリーニング屋さんで仕事をしていたので、技術を覚えたい、と先輩の所へ弟子入りを志願したのでした。
昔はこういうお弟子さんって結構いたんですよ。
うちにもいましたから。
いわゆる丁稚奉公というやつでして、住み込みで働きながら仕事を覚えていく。
僕が子供のころですかね、その頃はクリーニング屋さんもものすごく仕事があって、また機械もそれほど入っていなかったのでこういう制度が当たり前に活用されていました。


さて、そのお弟子さん。
自宅にアイロンとアイロン台を購入してアイロンの練習もしているそうで。
先輩も、見ているだけでは足りない、とアイロンの具合を見てあげることにしたんだそうです。

yシャツを1枚仕上げてくるように、そう伝えたらしいんですね。


出来上がったyシャツは、仕上げた後に時間がたってしわが戻ってしまっていたとの事。


僕らにはどうしてそうなるか?わかるんですが、理由が分からなかったようです。
手順は間違っていないし、業務用のアイロンを使っているし。
先輩も説明をしたんだけど、どうもわかっていないようなんだな、と言います。


yシャツを仕上げるのって、色んな技術の複合体です。
実は仕上げる前から準備が始まっていて、そこにも隠れた技術があったりします。


湿し込みというんですが、要は絶妙な水分をyシャツに与えて仕上げやすくしているんですね。
これを前日仕込んでおくんですよ。


今はこういう手間を省くようになってきているんですが、手仕上げをする、となるとこういう技術が必須になってくるわけです。
霧吹きでシュシュっ!とやってもいいでしょう?と思うかもしれませんが、違うんですよね。
アイロンを掛けて、絶妙な水分だと伸びると同時に乾いていく。
水分は多いと乾かさなければいけなくなるし、足りなければ伸びないしで非常に厄介なんですね。


また、僕らのアイロン台には蒸気を吸うようにバキュームが付けられています。
仕上げながら上手に蒸気を吸い取っていないと、生地に水分が残り、仕上げた後にしわが戻ってしまう事があるんですね。


これがまたとても微妙なんですよ。
たぶん素人目にはわからない、いや、プロでも相当熟練しないとわからない。
それだけ微妙な差なんですね。


ちゃんと仕上げているはずなのに、時間がたつとしわが戻ってしまう、そんな苦労を一度は皆さん通っています。
そして、それからちょうどいい塩梅を模索し始めるんですね。


どのくらいの蒸気量で、どのくらいの速度でアイロンを掛ければ蒸気がきれいに抜けるか。


このちょうどいい具合を探し始めます。
いくら手順を覚えようが、ここの壁はなかなか越えられません。
ひたすら仕上げて感覚を養うしかないんですよね。


こういう理屈を知っていると、テレビで売っている蒸気を掛けるアイロンを見ても、あー、やっちまってるなあとしか思わないんです。
ウール系はまだね、と思うんですけどね、それでも、あれだけ掛けちゃうと後が大変だよなあ、と。

お弟子さん、いろいろと教えてもらっているそうですが、もう少し苦労しそうです。
気持ちがよくわかるのでぜひ頑張ってほしいですね。
アイロンは訓練ですから。
ひたすら練習あるのみです。


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