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手洗い信仰。

洋服の洗濯やクリーニングについて、手洗い信仰ってあると思うんですね。

デリケートな服は手洗いで。


大事な服は手洗いで。


クリーニングだと傷んでしまうので手洗いで。

手洗いを勧める雑誌やらネットの記事やらが多くて正直困惑しています。
手洗いをしていれば大丈夫、みたいな話になっていて、大丈夫かなあ?とクリーニング師の立場から思うんです。


先日、こんなものを見つけました。



肌が老けて見える人は、服の洗濯しかたがダメなのかも

内容をかいつまんで説明をしますと、衣類は洗うとどんどん表面が劣化していって、ガサガサになる、と。
高い服も安い服も劣化していくので、洗いすぎるのはよくない、と。
ガサガサの服は光をきれいに反射できず、結果、肌が汚く見えてしまう、というんですね。

その対策として、顔に誓うものはなるべく洗っていないものを使うとか、洗うとしても手洗いをしたものにするとか。


突っ込みどころ満載なんですよね。


一見、読んでいると、なるほど!と思ってしまうんですが、この記事はいくつかおかしい所があります。
そのおかしい所ってたぶん、家庭洗濯の不満、クリーニングの不満につながっているんだと思うんですよね。
だから、思わず納得してしまうんだろうと思うんです。


でも、ちょっと事実と違うので、クリーニング屋の立場から説明をしてみようと思います。


服は洗うと劣化する、これは確かに言えるんですが、そんなガサガサになってしまうのはズバリ洗い方が悪いからですね。


洗剤の選び方、柔軟剤や糊の選び方で、あ会い上がりは全然違います。
また、ガサガサのイメージはそのまま干したやつを着るからだと思うんですね。
綿製品などを干したものは、かっさかさになりますから。
あれ見たら、劣化したなあ、と思う人の方が多いと思います。


でもですね、あれ、直るんです。


キリを吹くか、蒸気を使ってアイロンを掛けて伸ばすと元に戻ります。
劣化をしているんではなくて、洗いあがった時の細かいしわが乾燥によって強くついてしまっただけ。
アイロンを掛ければ元に戻るんですね。


アイロンを掛けるメリットというのはいろいろあります。
生地の中にあるような、表面がガサガサになってしまっても、アイロンを掛ける事でそのガサガサがならされて元のようにつるつるになるんです。


洗濯と一言で言っても、洗いっぱなしで着ている人もいれば、きちんとアイロンを掛けてきている人もいる。
この記事を書いた人は、アイロンを掛けていないんでしょうね。
だから、安易に劣化と結びつけてしまったんだと思います。


生地の中でもう一つ気になったのが、手洗いの件です。


要はガサガサにさせないように、劣化させないようにするには手洗いをすればいい、こういっているわけですね。
手洗いをすれば、傷まない、果たしてそうなんでしょうか?


先ほども書きましたが、ガサガサの原因の一つは、干した時に強烈にしわがついてしまったため。
すると、手洗いでも、なる可能性はあるんです。
でも、あまり手洗いで、そういった経験はありませんよね?
それにも理由があります。

それは、手洗いをするときに使う、おしゃれ着用の洗剤、ドライマークが洗えるという洗剤には、形を整える薬品が入っているからなんですね。
この薬品のおかげで、干していても形を維持しやすくなっているんです。


別に手洗いのおかげではありません。


手洗いをするのには理由があります。
一つは、ウールなど絨毛製品は水にぬれて、こすれると縮んでしまいます。
それを防ぐために、揉まないように洗わなければいけません。
そこで、手洗いが必要になるんです。


他にも、こすって洗ってしまうと劣化をしてしまうようなとてもデリケートな商品の場合は、手洗いをしますが、そこまでデリケートな商品っていったいどんなのがある?と僕は思うんですよね。


綿のTシャツ、普通に洗えますよ。
色の濃いシャツ、全然洗えますよ。

手洗いをしなければいけないのではなくて、他に気を付けるところがいっぱいあるんです。
洗剤を選ぶとか、洗浄時間を調整するとか、一緒に洗う服を調整するとか。
それらを一気に飛ばして、手洗いをするのは神経質になりすぎていると思います。


優しく洗えているんなら、手洗いでもいいじゃない?


そう思いますよね。
自宅ですぐ洗える手洗いなら、いつも清潔でしょう?


そう思いますよね。

手洗いでいったいどれくらいの汚れが落ちるんでしょう?
せいぜい、汗の成分がしみだしてくるくらい、その汗だって強めについたものは落ちていませんよ。
汚れを落とすためには機械力が絶対必要ですから。
それを省いた手洗いでは、汚れ落ちは期待できないんです。


去年の12月より、取扱い表示が変わりました。
新しく、商業クリーニングにも対応し、僕ら向けに水洗い用の新しい記号が出来たんですね。


いま、クリーニング業界の中ではその表示の事で大変なことになっているんですよ。


大変なことになっている原因は、ウェットクリーニングというデリケートな品物を水洗いするための表示、なんですね。
この表示が3段階表示になりまして、一番ソフトに洗うという表示が問題になっています。


難しい話はしませんが、簡単に言うと、ほぼ動かして洗う事が出来ないんです。
機械力、という数値があるんですが、その数値があり得ないほど低く設定されていて、通常のウェットクリーニングではその数値をクリア出来ません。

では、手洗いと同じように、漬け込んで動かさずに洗えばいいじゃないか、と思ってやってみると、漬け込む時間によってその数値を上回ってしまいます。
もう、クリーニング屋さんみんなびっくりですよ。

機械力を測るテスト方法があって、今回の改正を機に、いろんなクリーニング屋さんが自社の機械力を測っています。
これで行けるだろう、と思っていたのに、数値をクリアできず、何度も試行錯誤しているクリーニング屋さんが後を絶たないんですね。

やっとの思いで、設定された数値をクリア、しかし今度はもう一つの壁が出てくるんです。


この数値内で洗ったら、汚れが落ちない。

大問題ですよ。
先ほどもちょろっと書きましたが、手洗いと同じように洗っても下手すれば数値が上回ってしまうのに、汚れが落ちない。


つまり、手洗いだけでは綺麗にならないってことなんです。


僕らがこれだけ苦労しているのに、頻繁に洗えるとしても、プロ用の薬品などが使えない家庭での手洗いがそんなにきれいになるはずはないんですよね。


僕らクリーニング屋が今取り組んでいるのは、洗う時の数値はクリアして、では汚れをどこで落とすか?という事なんですね。
洗いの工程では無理なので、他の工程の中で汚れを落とすことを目指しています。

プロとしてさらにきれいに出来ないか?みんな模索をしています。


話を戻しまして・・・・。

服の汚れや色が肌の色を悪く見せている、これは正しいです。
でもそれの対策で、手洗いは対策になっていません。
汚れが落ちなければ、生地の色がどんどん悪くなり、生地がガサガサにならなくても肌がくすんで見えるようになります。


肌をきれいに見せたいなら、清潔な服を着ることを心がける方が早いです。


きちんとクリーニングをしましょう。
クリーニングが一番きれいになりますから。

そして、少ない着数で着まわさない事。
これも大事です。
ぜひご参考に。

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