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TVタックルでクリーニングが取り上げられてましたね。

日曜の午後から今日にかけて、メールや電話がたくさん来てました。
その理由は、日曜お昼に、TVタックルにてクリーニングの話が取り上げられたからです。

衣替えの時期はクリーニングやs難が多数テレビなどに出演します。


ちょっと前もノンストップに出ていましたし、BSでは魔法水で有名な横倉さんのドキュメンタリーが。
ノンストップの方は家庭洗濯のやり方、シミの抜き方など、横倉さんの方は本当にドキュメンタリーで横倉さんの半生と言ってもいいようなものが描かれていました。


同じようにテレビに出ると言っても、取り上げられ方、話す内容、全然違うんですね。


そして日曜、TVタックルで取り上げられたのは、過剰な価格競争でブラック化していくクリーニング業界、という内容でした。

テレビに出演をして、その話をしていたのは友人の鈴木さん。
ここ最近はご無沙汰をしていましたが、20年来の友人です。
福島の方で、大きなクリーニング屋さんを営んでいるんですが、とても情に厚く、正義感の強い人です。
震災や災害時に、工場の乾燥機を無料開放したり、避難所を回ってクリーニングをしたり、行動派な人なんですよね。

今回取り上げられた、価格競争が激しいクリーニング業という話、正直なんで今この話?というような内容でした。
クリーニング業ではたびたびものすごい価格競争が起きる事がありまして、その都度話題になったりしていました。
個人店のクリーニングが価格競争をすることはないので、すべて大手の話ですが、テレビで取り上げられていたように、yシャツ100円を切るクリーニングが出てきていたりします。
僕の知る中で最安は10円だったかな。
でも、それってかなり限定的な話だったんですね。

というのも、そのクリーニング屋さん全店でやっているというものではなくて、ある地域の受け渡しのお店でだけその価格でやっている、というもの。
つまり、競合他社がいて、という話だったんです。

実際はその価格で利益が出るはずもないのですが、そこは大手の数の論理、何十店舗もある中で一店舗分のyシャツなら、他の利益で賄える、というもの。
なので、そのお店の品質が落ちるようなことはないんです。


所がテレビだからか、あの番組だからか、煽りたいんでしょうね、価格競争の末、品質を落としている、と。
洗剤の量を減らす、すすぎの回数を減らす、そんな話をしていました。


あれ、僕の認識とは微妙に違うんですよね。
確かにそういう噂を聞いたことがあるんですが、それって、価格競争でそうなったのではなくて、原油高騰で資材や燃料が上がった結果だったと思うんですが・・・・・。

クリーニングはボイラーを焚いて蒸気や熱源を確保しています。
そのボイラーには灯油が使われている所が多く、一時期、原油が高騰した時期に燃料費が上がって困ったことがあったんです。

大手は、扱う量も多いので、燃料代もばかにならず、いろんな工夫をしていると聞いたことがあります。
その中で、聞いた話と似ているんですけどねえ・・・・・。

さらに、クリーニングでは詐欺まがいの事をしている、と。


しみ抜きする必要のないものを、不当なしみ抜き代を請求している、と。
鈴木さんが自分で大きな醤油のシミを付けて、洗えばすぐ落ちるような状況で持ち込んだら、大きいしみなので別途しみ抜き量がかかります、と。
それが2000円もした、というんですね。

これを聞いて、コメンテーターの方々が一斉に怒り出すわけです。


そりゃ、この話を僕も聞いたら怒って居ると思います。
なんてひどい業種だ、と。
そんな詐欺のようなことをしているのか、と。


でも、これって不当に煽りすぎているんですよ。


しみ抜きやクリーニングって、簡単ではないんですね。
見て、落ちる、と分かるなら僕らも苦労しないんです。
落ちるものもあれば、やってみたらびっくりするほど難しい品物だった、という事がよくある仕事がクリーニングなんですね。


ですから品物が持ち込まれた時に、お客様に質問をしているはずです。

これ、どういう風に付きましたか?と。


お客様についたときの状況やどんなシミがついたかを聞くことで、落とせるかどうか、洗いで落ちるかも検討をします。
大手になると、受付がパートさんになるのでこの判断も難しくなりますね。
お店によっては、一度洗って残った時に、もう一度お客様に確認をしてしみ抜きを別途受けるところもあります。
また、最初からしみ抜き代を頂戴して、洗いとしみ抜きをセットでやっている所もあります。


これを詐欺呼ばわりするのは、ちょっとやり過ぎだと思いますね。
ならぼくもいいたい、しょうゆを大量につけただけの品物を、他店に持ち込んだ鈴木さんは、ちゃんとその旨を伝えたのか?と。

洗えば落ちるものです、しょうゆを自分で付けました、と言ったのか、と。
言わないで出しているのなら、クリーニングを受ける立場からすると、ものすごく嫌なお客さんですね。

それはきれいにすることに協力してくれてないですもん。


クリーニングやしみ抜きって、お客様との共同作業なんですよ。
そりゃ、プロなので、僕らも鑑定をしたりします。
でも、目出てみて想像をして、それでも補えないものはたくさんあります。
そこでお客様に、どんな状況か、どんなシミか、聞くことできれいにできる、落とせる確率を上げていくわけです。
そこの協力をしてくれないで、高く取られた、落ちなかった、というのは、こちらとしてもそりゃないよね?となりますよね。


それは試すというよりは、すでに悪意のある出し方ですもん。
人がミスする、見逃すのを待っているような卑怯なやり方だ、というのは言い過ぎに聞こえますか?

確かに、昔はクリーニング代にしみ抜き代が含まれていました。
しかし、今はしみ抜き代を別途請求するところの不が多くなってきています。
それには各社方針や考え方があるんですね。
お客様のニーズが多様化してきているように・・・・。


クリーニングが昔のままだと、皆さん大変ですよ?
どこのクリーニング屋さんでもスーツが一着3000円から5000円ほどのクリーニング代になります。
今、それだけの料金で受けているクリーニング屋さんはほとんどないんじゃないでしょうか?

お客様のクリーニングを利用したい、という思いもいろいろで、大手さんはリーズナブルに利用できるように企業努力をしてコストダウンをしています。
過剰な価格競争の時代も確かにありましたが、そこを抜けてきて、価格に見合った品質を維持しようとしている大手さんもたくさんあります。

昔ならクリーニング代に含まれていたものでも、しみ抜きや修理を分けるクリーニング屋さんも当然出てくるわけですね。

クリーニング代だけでしみ抜きまでやってくれていた、という事は、料金にしみ抜き代が含まれていたという事。
しみ抜きの必要のない服からすれば、余計なお金を取られている、という事にもなります。
それを細かく分けて、低料金化させている、という側面もあるので、しみ抜き代が別途かかるという事は別に悪いことではないんです。

また、クリーニング料金内にしみ抜き代が含まれているのも、総合的にメンテナンスをしてもらうパック料金、となるので、すべてプロにお任せ、でいいんですね。


前者は自分で細かく注文できて、後者はお任せですべてやってもらえる。
車なんかもこういうシステムが多いと思います。

どんな業種にもあくどい人はいます。
いるんだけど、それを業界の中にたくさんいるようなイメージで訴えるのはおかしいと思いますね。


働いている人のブラック化の話も出ていました。


朝6時から出社して、午前2時まで働かされている・・・・、と。
これを聞くと、普通の人たちはそれは悪徳すぎる!と思いますよね。

でも、僕はこう思ったんです。

えー、そんなに仕事ないでしょ、と。

この話を聞くと、普通の人は慢性的にこういう仕事がなされているようなイメージになりますね。
まあ普通の仕事は年間平均して仕事があるのでそう思うのが普通。
でも、クリーニングってそういう仕事ではないんですよ。

衣替えの時期を繁忙期と呼ぶんですが、繁忙期があるという事は閑散期もありまして。
閑散期なんて大手の工場は生産性が高いがゆえに一日一時間ほどしか仕事がない時期があるんです。
まだあればいい方で、下手すると一週間のうちの数日休み、というケースもあります。


という事情を知っている僕からすると、それだけ仕事をしなければいけない時期って繁忙期だよね?と思うんですね。
繁忙期だから、許される、という意味ではなく、そんな殺人的な量は一瞬で終わるので、その後はどうなんだろう?と素朴に疑問に思ったりしていました。


人の話は必ず話したい方向がありますので、都合のいい部分だけ話をします。
大変なのはうそではないんでしょうが、一部を誇張してないかい?と思うんです。


電話やメールをしてきた友達はみんな怒って居て、あの放送はひどい、と。
TVタックルって、あんな番組だったかな?と僕も録画した番組を見て首をかしげましたしね。
コメンテーターの方々が、すぐ騒ぐのも大人げないかな、と見ていました。


ああ、そういう風にあおる番組なんだな、と思いますが、そのせいで影響がある人たちがいる事を肝に銘じて放送をしてもらいたい。
炎上商法しかり、怒りを煽る番組しかり、自分たちの目先の売り上げ、視聴率のために他の人を巻き込んじゃだめですよ。

取り上げるならちゃんと取材をして、公平に取り上げないと。


なんかねえ、鈴木さん、伝えたいことこれじゃねえだろう?と思うんですけどね。
ものすごく残念でした。


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