洗いの仕分けの基本は、素材や色なんですよ。
クリーニング屋さんを利用したくない、という人の中に、他の誰のものかわからないものと一緒に洗われたくない、というのがあるそうです。
他人の服と一緒に洗われるのは嫌、という事なんでしょうか。
そういえば、昔、お父さんの服と一緒に洗わないで、なんていうのを聞いたことがありますが、あれと同じような感覚なんでしょうか?
うちでもし娘がそんな事を言っても誰も聞いてくれないと思いますけど。(笑)
多くの人がこれを望んでいるとは思いませんが、こういう要望があると必ずそれに沿ったサービスが出てきます。
クリーニング屋さんではないにしろ、洗濯代行業の方で、他の人のものと一緒に洗いません、自分の洗濯ものだけをまとめて洗います、そんなサービスを売りにする所も出てくるんです。
一見、よさそうなこのサービス。
クリーニング師の僕からすると、微妙だなあ、と言った感じ。
というのも、人のものと一緒に洗おうが、自分の物だけで洗おうが、大事なのはそこではない、と知っているからなんですね。
逆に、人の物とか、自分の物とか、そういうくくりで一緒に洗う方が危険だと知っているので、僕が利用する立場なら使いたくないなあ、と思ってしまいます。
洗う時に一番大事なのは、素材を揃える事と、色を揃える事。
これが一番大事なんですね。
これは家庭での洗濯も、クリーニングでも、同じです。
これがバラバラだと、洗っている最中にいろんな不具合が出ます。
安定して洗うために、揃える、そんな感じでしょうか。
素材を合わせる、というのは、固い生地や柔らかい生地を混ぜない、という事。
洗っている最中はいろんな生地と揉まれるので、影響を受けやすくなるんです。
柔らかい生地に固い生地がこすれていたらどうなるか・・・・・・・、誰でも容易に想像できるでしょう?
皆さんが怖がる、服が傷む、という現象が起こりやすくなるわけです。
綿同士ならいいというわけでもなく、同じ素材でも織や編み方で固さが違うので、そこをうまく調整することがとても大事になります。
そして、色を合わせる。
洗っている最中に、いろんな出来事が起こっているんですが、服から色が溶け出すということも起こる事があります。
いろんな色とをごちゃごちゃ混ぜて洗ってしまうと、強い色に汚染されることがあるんです。
これもみなさん、ご経験があるでしょう?
下着が真っ青になってしまったり、赤くなってしまったり。
一緒に洗ったこれが悪いんだ、と原因も分かったり。
なので、洗う時には、なるべく色を合わせて洗う事が大事になります。
ここまでくれば、洗う時に自分の服だけで洗うという事が、あまり意味のないという事がお分かりいただけたでしょうか?
気持ち的に嫌だというのはわかりますが、洗剤は汚れの成分をキャッチして他に移さない、という効果があるので、誰の品物と一緒に洗っても、他の汚れは付きません。
他の人の品物と一緒に洗っても大丈夫なんですね。
お客様のニーズにこたえる事はとても大事です。
求めている事をかなえる事で、より利用してもらいやすくなります。
しかし、それが必ずしも、いい事であるとは限りません。
もし、お客様が求めているものがよくないものだとしたら。
そんな時、プロはどうするべきでしょうか?
お客様が言っているんだから、望んでいるんだから、結果がどうあれ良いんだよ。
これ、最近多いような気がするんですよね。
クレームを言われたくないので、お客様が言った事をそのまま屋てあげればいい、と。
あとで、何か言われても望んだのはお客様ですよ、と。
それでいいのかなあ?と思うんです。
例えば、クリーニング屋の僕らは、国家資格のクリーニング師を取得して営業をしております。
国のお墨付きのプロなわけです。
そのプロが、お客様が間違っててもいいからこれやって、と言われてそのままやっていいのかな?と思うんですよ。
きちんと説明をして、ご理解いただいて、正しい洗い方を選んでもらう。
そうでなきゃわざわざ国家資格を取ってプロとして営業をしている意味がないじゃないか、と思うわけです。
公衆衛生を守る、これも僕らの使命の一つなんです。
何でもかんでもニーズにこたえる事がいいわけではない。
応えるなら、プロとしてきちんと作りこんであげなきゃ。
お客様は、信用して利用されているんですから。
洗濯代行は、そのうち何らかの規制が入るような気もしているんですよね。
あまりにもグレーゾーン過ぎる。
少し心配ですね。
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