高い服が縮みやすいわけではない。
とあるところからメールが回ってきました。
あるクリーニング屋さんが、こんなこと言ってるんだけど?と。
内容はこんな感じ。
ニットの洗い方を教えながら、最後に、高いものほど縮みやすいのでクリーニングへ、と。
ん?
んんん???
いつから高いものが縮みやすくなったんだ???
高いものがデリケート、と言いたいのかもしれませんけど、少し語弊がありますよね。
クリーニング屋さんなんだからもっときちんと説明をしないと。
ニット、主にウールですが、が縮むのには理由があります。
ウールの表面には人間の髪の毛に似ている、うろこ状のスケールと呼ばれるものがあるんですね。
これが、水につかると、傘が開くように広がりだし、生地がもまれた時に絡んでしまい、縮んでしまうんです。
かぎ型に引っかかっている、と想像してもらうとわかりやすいかも?
複雑に絡んでしまうので、ウールの縮みは直りません。
で、これは、高いとか安いとか全然関係ないんですよね。
そもそものウールの特性なので、特殊な処理をしていないと、すべてこの縮みが起こる可能性があります。
よくウールは水で洗えない、と言われていたのが、洗い方を間違えると縮んでしまうので、言われていたんでしょう。
実際は水で洗う事も出来ます、が、洗い方を間違えると縮んでしまいます。
すべてウールがこのように縮むんですが、それでも作りによって縮みやすいものと縮みにくいものがあります。
強く寄っていたり、目の細かく固いものは、洗っている最中にもまれにくいので縮みづらい。
ぎゃくに、ふんわりしたものは洗っている最中に生地同士が擦れやすいので、縮みやすい。
こういう傾向があるんです。
柔らかくふんわりとしたもの……、高いニットに多いですよね。(笑)
この点だけでいえば、高いものは縮みやすいとも言えなくもない。
でも、正しくはない。(笑)
例えば、似ているものとして柔らかく風合いが独特なカシミヤとアンゴラ。
カシミヤの方がアンゴラの数倍高い商品です。
これどちらが縮みやすいか?と言ったら、実は圧倒的にアンゴラ。
もうぎゅうぎゅうに縮んでしまいます、
カシミヤは、割と強いので、洗い方に気を付けていれば縮みません。
アンゴラは注意をしていても、なる事がある位デリケートなんですよ。
だから僕は、お客さんに言っているんです。
もし次に買う機会があったら、多少高くてもカシミヤをお勧めします、と。
だって、長持ちしますからね。
ふんわりしたものは安いものでも平気であります。
また、縮むかどうかだけで考えると、ウール100%よりも、他の繊維が混ざっている混紡品の方が違い縮み方をしやすいと思うんですね。
で、こちらは割と安く購入できるんです。
ウールの独特な縮み方とは違うんですが、そもそもの繊維の太さの違いから目が詰まっていくように縮んでいくので、一度洗うとあれ?っと思う位丈が短くなったりする。
そっちの方が割と深刻かな、と思うんですね。
洗ったら縮むから1サイズ大き目の物を買おう、となるような商品、あるでしょう?
それ、普通はおかしいんですからね。
洗ってサイズが変わったらいけないんですよ・・・。
洗うと縮むというのは恐怖だと思います。
だから怖くて洗えない、という方もいらっしゃるかもしれません。
縮みを正しく理解して、縮みにくい商品を選ぶことも大切です。
あと、出来ればやはり1000%物を選ぶ方が、メンテナンスを考えてもいいと思います。
混紡品はいろいろと考慮しなければいけないものが増えてきますからね。
素材の勉強、大切です。
洗い方やシミの落とし方よりも、消費者の方にとっては、素材の勉強をたくさんする方がメリットあると思います。
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