ドライクリーニングが悪いのか?の見分け方。
相変わらず、ネット上にはいろんなクリーニングの話が出てきます。
オリジナルはほぼ無く、どこかのサイトを参考にしてきて作られているので、正しい情報もあれば、おかしな情報もある。
次第に間違った情報が正しいと思われていくことに危機感を感じています。
先日もスーツのメンテナンスの情報の中にクリーニングへの話が書いてありました。
スーツは洗いすぎてはいけない、クリーニングをし過ぎてはいけない、ドライクリーニングは脂を取ってしまうのでパサパサになる。
はー、本当にこの手の甘い情報に疲れてしまいます。
と言うかね、いくらネットで出している情報だからといって、無責任すぎやしねえか?と思うんですよ。
ちょっとそこら辺で井戸端会議している時に話題として出してる話と違って、それっぽく語っているわけですからね。
きちんと調べて責任を持って書いてくれないかなあ、と思います。
スーツの洗いすぎについては何度か書いてきましたが、また日を改めて書き直しましょうか。
今日はドライクリーニングをするとパサパサになる、という話について。
ドライクリーニングは主に石油系の溶剤と呼ばれる油で洗います。
油で洗うので脱脂力がある、と言うのは正しい情報です。
しかし、それが服がパサパサになるか?というとなりません。
残念ながら、僕らが使っている液体でそこまでの脱脂力はないんですよ。
脱脂力でいうなら他にも脂をとるものはたくさんあります。
洗剤だって脂を落としますよ。
みなさんが使っているドライマークが洗える洗剤だって、脱脂力があります。
基本、脂って汚れなんですよ。
だから、脱脂力がないといけないんですが、同時に取りすぎるとパサパサになってしまいます。
こちらの対応として、そこまで強力な脱脂力のものは使わないようにするとか、柔軟剤、または加脂剤と呼ばれるもので脂を足したりしてパサパサにならないようにするんです。
でも、クリーニングから返ってきたらパサパサになった、と言う経験がある、これも事実ですね。
そう言うクリーニング屋さんがある、と言うのは僕も知っています。
実際、お客様からご相談を頂きまして、見させてもらうとおかしいものもありました。
多分、ここがドライクリーニングをすると脂がとられてパサパサになる、と言う根拠だと思うんですよね。
違うんですよ。
これね、原因は熱です。
乾燥のしすぎ。
乾燥のしすぎて生地が硬くなってパサパサに感じているんです。
もし、脂がとられて、ドライクリーニングで脱脂をされてパサパサになってしまったのなら。
服の形態は変わらずに生地の表面だけが
パサつきます。
脂を取られただけなので、それ以外に変化は起きません。
しかし、熱にやられると、表面以外にも変化が起きてきます。
それは、縫い目。
例えば、ポケットのあたりとか、縫い目が縮んでいたりするんです。
縫い糸が縮むので縫い目がシワになります。
また、もっと縮んでるものになると、表地が反り返って裏地が見え始めます。
これは熱にやられたサイン。
乾燥機で高温に晒された可能性があります。
これが、脱脂されたものとの違い。
おかしいな?と思った時には、色々と観察すると原因にたどり着きやすくなるんです。
今の乾燥機はサーモスタットが付いてますから本来熱がそこまで上がらないはずなんですよ。
ところが、乾燥機にぎゅうぎゅうに詰め込むと、中々乾かないので、乾くまで長時間乾燥機で乾かされることになります。
そりゃ、縮みますよね。
せめて、ゆったりと乾燥機で乾燥されているならいいんですが…。
ドライクリーニングは脂をとる、から飛躍しすぎた話が多過ぎです。
それは、クリーニング関係者では無く、何も知らない人が言葉ヅラの情報だけで発信をしているからに他なりません。
プロなら絶対そんな話は書きませんから。
何も知らなから、安易に脱脂されるとかパサパサになるとか、間違った情報を出してしまうんですよ。
誰が発信しているのか?
どこが発信しているのか?
これはとても大事です。
みなさんがわからないのは仕方がないです、プロじゃないんですからそこまで勉強をしろと言うのも酷な話。
わからないことや不安に思った時は、遠慮なくクリーニング屋さんに聞いてみましょう。
それが一番確実です。
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