これは、事故です!
昨日の話に関連した話です。
昨年、とあるお客様からクリーニングのご依頼がありました。
いつものようにお預かりして、洗い、仕上げをしようとしたら、一枚のセーターがおかしいんですね。
これ、事故だ。
瞬時にそう思います。
生地の目が詰まり、固くなっています。
フェルト化だな、とプロならすくわかるもの。
母を呼んで、現物を見せて、話をします。
これ、おかしくない?と。
可能性は二つ。
一つは、うちで失敗した。
もう一つは、他で失敗したものを持ち込まれた。
うちでの洗い方は縮むような事はしません。
縮むのには原理があってどう洗ったか?聞けばうちがやったのか?すぐわかります。
ドライクリーニングした後に、自然乾燥をした、とのこと。
うちのドライクリーニングの管理で縮む要素はないし、一緒に洗った他のセーターにはなんの変化もありません。
縮むような仕事はしていない、ここは確定しました。
おかしくなっているセーターを見ると、うちのではないタグが付いています。
最近ネットで噂のクリーニング店のものでした。
あ、これだな、と。
ちょっとした話は聞いていたので、こうなってしまったのも理解できます。
お客様のところに行き、納品しながら、セーターの件を聞きました。
これ、おかしくなっていませんか?
お客様がおかしいと気付いているか?そこが大事なんです。
すると、お客様、そう、これおかしくなっちゃって、どうしてでしょう?と逆にご質問。
どう説明するか?悩みましたが、よそのお店で洗ったと言うのはあえて伏せて、クリーニングによる事故です、と説明をしました。
すると、実は、とネットのクリーニング屋さんにこれだけ試しに出してみた、とおっしゃいます。
おかしくなっていると思っていたけど、こんなものかな?洗えば直るかな?と見て見ぬ振りをした、との事。
弁償案件なんだけどなあ、信じたくないからなのかな。
当然、うちで洗ったからといって元に戻るわけないんです。
元に戻らないようなものだから弁償案件なんですから。
そこで、その説明をしまして、そのクリーニング屋さんに問い合わせをしてみたらとお勧めしました。
何かあったら協力するので、と。
実は、お客様はこの品物だけ、とおっしゃっていますが、他の品物も出しているんです。
みんな同じようにやられているのでわかるんですよ。
でも、それをぼくに言いたくないのもわかるし、そこを問い詰めてもなんの問題解決にもならないのであえてそこには触れません。
ただ、おかしくなっている事実は伝えなきゃいけませんし、リカバリーできるものとできないものを知っていただかないと、と思うんですよね。
わからないから不安になるし、わからないから見て見ぬ振りをする。
お客様が疑心暗鬼になって洗うのが怖くなるのが一番悪い事ですから。
正しいことを知ってもらう大事さ、その伝え方、それを考えるきっかけになりました。
気軽に相談してもらえる環境を整えないとダメだなあ、と思います。
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