服が長持ちしない理由は?
破れたり、ヨレヨレになったり、変色したり。
そんな時に、よく服のせいにする人が違います。
この服、安もんだからだよ!
服がダメなんだよね。
そういう風に、服のせいにする人が結構いるんですね。
たしかに、そういう現象が起きた時に、服が原因のケースもあります。
いいものは耐久性もある、そう考えるのも理解できますしね。
安いものはすぐダメになる、そんなイメージは僕も持っています。
しかし残念ながら、服がよければ長持ちをする、耐久性がある、傷まない、ヨレない、変色しない、わけではないんです。
逆に、いい服だから危ないことも多々あるわけで。
例えば、いい服と言われるもの、高級な服に共通しているのは、糸が細い、という事。
これは肌触りに直結するんです。
アパレルの考え方で、糸は細ければ細いほどいい、というのがあり、化学繊維の目標はシルクと言われるほど、細い糸を目指しています。
しかし、糸が細くなると肌触りが良くなる反面、当然耐久性に問題が出てくる。
太い糸と細い糸、どっちが強いか?と言われたら誰でも太い糸、と答えるでしょう。
その通りで、細くなると傷みやすくなります。
熱の影響も受けやすくなるし、色の定着度合いも変わってくる。
肌触りと一緒で、よりデリケート、より繊細になっていきます。
もちろん、いい服は繊維だけの問題ではなく、作りもしっかり作られています。
縫製が良くできているので、その分しっかりとしていますが、それでも生地のデリケートさはカバーしきれません。
結局、服を長持ちさせるには、きちんとしたメンテナンスが大事、という事になるんです。
僕らはクリーニング屋なので、いろんな服の状態を見てきています。
どうやって洗ったらおかしくなるのか、糊の有無でどう変わるのか、こまめに洗う人と滅多に洗わない人とどう変わるのか、いろんな事例を見てきています。
クリーニングって、そういう事例の集合体なんです。
その多くの事例から、いろんなことを学び、傷まない、変化が起きない洗い方、仕上げ方を見つけてきたのが、現代のクリーニングです。
クリーニングの歴史は50年ちょっとなのですが、沢山のクリーニング屋さんが多くの経験をし、失敗をし、学んできた事が僕らに継承されています。
その受け継がれてきた経験から見ても、たとえいい服だとしても、メンテナンスをしっかりしないとすぐダメになってしまうんですよね。
洗わないで着続けられる服はありません。
汚れない服もありません。
やはり、アイロンはかけた方がいいし、糊もついてる方がいい。
あるとないとでは圧倒的に傷み方に差が出ます。
服はいろんな立場の人が関係しているので、いろんな意見があります。
アパレルにはアパレルの事情や考え方からの意見が。
消費者には消費者の立場からの意見が、
そして、クリーニング屋にはクリーニング屋から見た意見が。
僕らクリーニング屋が考えるのは、長く着れるように、着やすくなるように、いい状態をキープ出来るように。
これがクリーニング屋の考えている事です。
服を大事に着たいならクリーニング屋さんの意見は参考になると思いますよ。
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