やって見ないとわからないことがあります。
クリーニング屋さんの機械は、基本的に服にダメージを与えないように配慮されて作られています。
しかし、どんなに配慮していても、その規格から外れる商品があるのも事実な訳で…。
そこを工夫しながら洗うのが僕らクリーニング師の仕事の一つ。
経験から、事前にその規格から外れたものと分かる時があります。
そういう時は、別で洗ったり、機械ではなくハンドアイロンで仕上げたりするんです。
先日、とあるワイシャツをお預かりしました。
事前にご相談がありまして、ボタンが普通のものより厚いので割れるんじゃないか、とのこと。
確かに厚手のボタンは割れる事があるのですが、そんなに頻繁に割れるわけではないので、普通に対応できるんじゃないかな、と考えたんです。
ところが。
お預かりしてみてみると、僕の想像を超えていまして、ちょっと危険。
ボタンが割れる可能性があるなら、と、ハンドアイロンでの手仕上げに変更してお届けしたんです。
ハンドアイロンで手仕上げになると、クリーニング料金もかなり上がります。
日常的なクリーニング料金とは言いづらい料金になってしまうんです。
お客様と相談をしまして、機械で試しに仕上げてもらえないか、と。
ボタンの割れる可能性をお伝えして、予備のボタンをあらかじめたくさんお預かりしておくことで、試してみることに。
そして、機械でプレスをしてみたんですよね。
最初、これはいけるかな?と思ったんです。
でも、よく見ると、ボタンの端っこがかすかに欠けている。
その欠け方がいやらしいんですよね。
全部割れるわけではないんです。
1枚のシャツで、一個か二個、よく見ないとわからないレベルで欠けている。
クリーニングの仕事をしていると、ボタンが割れてしまうことがたまにあるのですが、その時の割れ方とちょっと違うんですよ。
普通は、もっとはっきりと割れるものなんです。
欠けるにしてももう少し厚く欠けるのでパッと見てすぐわかる。
でも、今回のは、じーっと見てみないとわからないほどのかすかな欠け。
もうね、内心、チッキショー!ってな感じです。
やり方を工夫すれば欠けないんじゃないか、向き?位置?何かしらの工夫で完璧に機械仕上げが出来るんじゃないか?
なんなら、最初から上手くやれたんじゃないか?と思うくらい、だったんです。
ボタンは交換をすればいいんですが、手仕上げだと日常的にクリーニングに出すのは難しくなるので、なんとかしたいんですよねえ。
厚手のボタンでも大抵のものは平気なんだけどなあ。
あー、くやしい。
でも、クリーニングの仕事って、こういう試行錯誤が割と多いんですよ。
それは、服がそれぞれ全部違うから。
大まかなくくりでまとめて洗ったりしますが、それに合わない品物もあります。
洗う前に見分けて、適切な洗い方をしないといけないんですが、その目を養うのも、いろんな失敗を繰り返してきて、身につけてきた技術だったりします。
今回も、色々試行錯誤をすることで、また新しい技術を発見できると信じで、もう少し頑張ってみようと思っています。
やって見なければわからない事ってありますからね。
頭使いながら挑戦します。
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