クリーニングはなぜ難しいか?
繊維だけでは洗う事ができない。
これはクリーニング屋さんからすると常識です。
服についている表示。
どんな繊維が使われているか?書いてあります。
でも、それだけでは、安全に洗う事は出来ないんですよ。
昨日、こんな事がありました。
クリーニング業界で名の知れた先生がとあるSNSにこう書き込んだんです。
これは違法表示です、ポリウレタンが入っているのに表示にはポリエステル100%と書いてある。
これが許されていいのか?と。
写真付きで書かれていたんですが、僕はどうも変だな、と思ったんですよ。
ポリウレタンという繊維は結構厄介で、時間の経過とともに脆くなる性質を持っています。
あるものはベタついたり、あるものは破れたり。
着用の頻度ではなく、製造されてからの時間の経過によってそうなるのでわ防ぎようがありません。
僕らが懸念しているのは、お客様が、それを理解して購入されているのか?
黙って使われてて、気がついたらこうなった、ではあまりにも酷いじゃないか、と思うんですね。
先生のおっしゃるように、表示にな書いてないのに入っていたらそれはいけません。
明らかな不当表示。
でも、書いてあるものと違うならその根拠がなければいけません。
で、先生に聞いてみたんですね。
なんで、ポリウレタンが入っていると思ったんですか?と。
すると返ってきた答えはコレでした。
裏地や表地にポリウレタン樹脂で接着している、と。
だから、ポリエステル100%ではない、というわけです。
…、どうしようかな?と思ったんですけど、言っといたほうがいいかな、という事で指摘したんですね。
先生、それは不当表示ではありません。
繊維としてポリウレタンが入ってないのであれば、接着剤として他のものを貼り付けているのは繊維表示には当てはまりません、と。
先生、知らなかったんでしょうね。
入らないんですか?って。
そう、入らないんですよ。
そこからいくつかやり取りをしたんです。
で、これがクリーニングが難しい理由なんだ、と。
繊維表示は使われている繊維が書いてあるだけなんです。
で、服は繊維以外にも使われているものが沢山あります。
芯地、接着剤、縫い糸、装飾品、ボタン。
色んなものが付け加えられて服を構成しています。
繊維だけで見たら洗うのに問題がなくても、他の物のせいで洗えない事があるわけです。
で、問題なのが、繊維の表示以外、何もないわけですね。
何を使われているか?わからない。
見えてるものはわかります。
ボタンや装飾品などは。
でも、裏地に貼り付けてあるものなどは表から見てもわかりません。
洗濯表示を見ながら、想像してクリーニングをしなければならないんですよ。
これね、洗濯表示が正しければいいですよ?
もし、洗濯表示が間違っていたら?
僕らはどうする事も出来なくなるんです。
実際、表示を信じて洗っておかしくなった服は沢山あります。
メーカーさんに問い合わせても、取り合ってくれないケースも。
そんな事を経験しながら、僕らはその服をどう扱えばいいか?見抜いているわけです。
と、先生に話したら、先生、こう言うんですよ。
いつか、この問題が解消されるといいですね。
はい、僕もそう思います。
でも、もう何十年も繰り返してますからねえ。
その日は来るのか?
先生にクリーニングの難しい理由が伝わってくれたらいいなあ。
他の業種から来た人なのでこれから沢山知ることになると思います。
クリーニングがなぜ難しいか?
ここの本質に近づいてほしいな、と思いますね。
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