ドライクリーニングのソープチャージシステム。
ドライクリーニングはまだまだ世間一般には知られていません。
ドライマークが洗える洗剤で洗えばドライクリーニングと思ってたり、ドライクリーニングでは汗が落ちないと思われていたり。
いろんな誤解や間違った情報が出回っています。
特に、僕らが気になるのは、ドライクリーニングは汗などの汚れが落ちない、と言うところ。
これ、下手するとクリーニング屋さんもそんな話をする人がいて、軽くめまいを起こしそう。
言葉が足らないだけだと思うんですが、もし本気で話してるなら、もう一度しっかりクリーニングを勉強し直してこい!と怒鳴りつけてやりたい気分。
ドライクリーニングはもう50年以上も前から汗などの汚れを落とすやり方が確立されているんですよ。
それをソープチャージシステム、と言います。
おそらく、ネット上で、お客さん向けにこの言葉が出たのは初めてではないか、と思うんですよね。
クリーニング屋さんの中では、ドライクリーニングを勉強する時には当たり前のように習うことだし、実際の現場でもこれが基本となって洗っています。
簡単に説明をすると、ソープ、洗剤ですね、それを一定の割合でドライクリーニングの溶剤の中に添加して洗うことを言うんです。
ドライクリーニングは、洗う時に使う液体を機械に貯蔵しています。
そこに、一定の割合で洗剤を添加することで、汗などの汚れ落ちを良くしたり、他にも様々な効果を出させています。
このシステムが50年も前から出来ているんです。
クリーニング学校に通って、ドライクリーニングの勉強をすると、いの一番に習う基本の話。
だから、ドライクリーニングで汗が落ちない、なんて話になるはずがないんです。
ドライクリーニングの溶剤は、石油由来の液体なので、そのままだと油の汚れを落としやすくなっています。
そこに、洗剤を一定の割合で添加することで、汗の汚れなどが落ちるようになります。
ソープ(洗剤)をチャージするから、ソープチャージシステム。
そのまんまの名前です。(笑)
洗剤を添加する理由は他にもあります。
液体は動くと静電気が発生します。
ドライクリーニングの液体も洗う時に攪拌されると、静電気が発生します。
ドライクリーニングの液体は、引火性の液体なので、そのままだと静電気により発火する可能性が出てきてしまいます。
洗剤を添加することで、静電気を適切に外に逃がして、発火の可能性を消しているんです。
僕らの安全のためにも、洗剤を添加して洗う必要があります。
ソープチャージシステムを適切にしているところは、普通にドライクリーニングで汗の汚れが落ちます。
もちろん、あまりにも汗汚れがひどい時には、一度では落ち切らないこともありますし、水洗いをする方が早く綺麗になることもあります。
これは、服の汚れの程度の問題で、ドライクリーニングでも汗などの汚れが落ちない、という事ではないんです。
クリーニング屋さんが、ドライクリーニングで汗汚れは落ちません、と話すのも、ものすごく汗で汚れているケースの話で、最近はスーツの数が少なくて、汗でひどく汚れているものが増えてきているのでそう話しているんだと思います。
お客様の中には、そう言っでドライクリーニングで汚れが落ちてなかったよ、という方もいらっしゃるかもしれません。
実は、このソープチャージシステム、してないところも昔はあったんです。
理由は色々あるんですが、洗剤を添加すると服に小じわが出来て仕上げに手間が掛かったり、汚れが落ちるのでドライクリーニングの液体が汚れてしまうので、それを嫌った人が洗剤を添加しないなどのことがあったらしいです。
クリーニングをしていて、本末転倒なんですけどね。
汚れを落とすために洗ってて、小じわは仕上げれば直るし、液体が汚れるのは汚れが落ちてるからだし、それを嫌がるなんて目的がおかしくなってるんですけどね。
ドライクリーニングの液体が汚れると、洗った時にその汚れが服に戻る現象が起こります。
そうしないために、大きなカートリッジフィルターで毎回ろ過しながら綺麗な状態を保ってるはずなんです。
ドライクリーニングってよく考えられて作られてます。
きちんとソープを添加し、カートリッジフィルターを交換して、液体の管理をすればこれ以上ないくらい、安全に綺麗に出来るものなんですよ。
今日のブログは、一般の消費者に向けて書いたものの中で、かなり業界の秘密を突っ込んで書いています。
普通はここまで説明しませんしね。
でも、あまりにもドライクリーニングのはなしがおかしくなってきているので書いてみました。
今後、どこかのブログなどで、洗剤を添加してるとかソープをチャージしてるとか、あったらネタ元は多分ここだと思います。(笑)
正しく広まるならパクられてもいいんですけどね。
せめて、質問をしてくれたりすればなんでも答えるんだけどなあ。
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