服を扱う人たちに足りないものは?
今日で年内の仕事がほぼ終わりました。
後は、明日の午前中の営業を残すのみです。
さて、クリーニングの話を書くのは今日が年内最後になるかと思います。
折角なので、少し突っ込んだお話を。
服に関わる業種はたくさんあります。
アパレル、縫製屋さん、染色屋さん、生地屋さん、修理屋さん、クリーニング屋さん。
他にも洗剤屋さんがいたり、アイロンを作ってる人や洗濯機を作っている人もいます。
どれもこれも、衣類に関わる人達です。
しかし、これらの人たち、みんな話がバラバラなんですよね。
なので、同じ服について話をしているのに、見解がかなり違う事があるんです。
なんでそんな事が起きるのか?
最近ようやくわかってきました。
皆さん、各々の業界ではプロなんですが、衣類全般の知識がないんですよね。
だから、おかしな話をしてみたり、見当違いの話をしたりするわけです。
服を作っている人たちは、強度や素材の質感などはとても詳しい。
でも、洗ったらどうなるか?は全く知りません。
下手すると、洗った後の知識は消費者と同レベルの人もいるくらいです。
また、リフォーム屋さんも、修理はとても上手にしてくれますが、素材表示の事は全く知らなかったりします。
タグについている意味や、どういう基準でつけられているか?全く知らないんですよ。
服を扱っているんだから、それくらい知ってるはずだ、消費者の方はそう思いますよね?
服を製造している人たちは、きちんとテストをしているはずだ、とか。
しかし、残念ながらそうじゃないのが現実です。
クリーニング屋さんも、クリーニングの事だけ勉強してきた人と、繊維のことを勉強してきた人とでは全然違います。
服を洗うんだから、服の事を知っているのは当たり前でしょう?
いやいや、そうでもないんですよ。
現場で毎日クリーニングをしているので、クリーニングの事はわかるけど、繊維のことや服の事、作りのことなどは、別に勉強をしなけれがわからないんです。
でも、ここを勉強する人はあまり多くありません。
服に関して、業種によってあまりにも話が違いすぎるので、不思議だったんですが、要は扱っていると言いながら、服を全般的に学んでいる人が少ないのが原因なんですよ。
じゃあ、改めて勉強をすればいいじゃないか、と思うんですが、これがまたそう簡単な話でもなくて。
アパレルさんでもクリーニングのことを勉強している人はいたりします。
でも、勉強をしても、理解できるか?は別の話で。
というのもですね、本を読んだだけでは、クリーニングの仕事を理解できないんですよね。
これは、逆のことも言えて、僕らが繊維のことを勉強しても、多分本質的には理解してない部分もあると思うんですよ。
実際、仕事しながら学べばその差は埋まると思うんですが、なかなか現場で学ぶ機会はないので、どうしても誤差が出る。
例えばね、林檎は甘い、と書いてあったりします。
僕らはリンゴを食べた事があるので、りんごの甘さがわかるわけですが、リンゴを知らない人がこれを読むと、砂糖の甘さとの違いはわからないんです。
何を馬鹿な話をしているんだ、と思うかもしれませんが、そんな馬鹿げた話が実際に起こってしまうんですよね。
それが、ドライクリーニングは服の油分を取る、という話。
これも似たような話で、ドライクリーニングは油脂溶解力があるから、という情報から、服の油が取られてパサパサになる、と解釈をしてしまう人がいる。
でも、現実は、ドライクリーニングで洗ってもそんな事にはならない。
言葉に翻弄されてしまうんですよね。
似たような話は他にもあります。
自分で洗濯できますよ、きれいになりますよ、とあると、クリーニングと同じようにきれいになると思ってしまう人がいる。
70%きれいになるとか、35%きれいにならとか、そんなふうには書かれませんからね。
一言、きれいになる、とだけ書かれていると、どこまでの事を言っているのか?中々感じ取れないです。
話を元に戻しましょう。
服を扱っている人たちがこれからやらなければいけない事は?
やはり第一は勉強ですね。
毎日仕事をしているからと言って安心せずに、自分の扱っているもののことを一から勉強し直すといいと思うんです。
原料から、繊維、作り方から、加工まで。
そして、洗濯やクリーニングもきちんと学んだほうがいい。
これはうちらにも言えて、繊維のこと、服の事、もっと勉強しなければいけません。
そして、これがもっと大事。
いくら勉強をしても、やはり餅は餅屋。
専門の方には及ばないので、専門家を尊重する事。
ちょっと勉強したくらいで、相手の仕事を知った気になるって、お粗末すぎますよね。
そんな簡単に語れないのが仕事です。
相手の仕事に敬意を持って接すれば、服に関わる人たちがいい関係を築いていけるのではないかな、と思います。
今は、あまりにもお互いが遠く離れすぎている。
来年はこうした事が1つずつ前に進んでいけるといいなあと思いますね。
今年も残すところ後1日。
来年はもう目の前です。
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