洗うと風合いが変化する理由。
洗ったらなんか変わってしまった、という話を聞くことがあります。
それを嫌って洗うのを極端に嫌がる人もいますね。
なんで洗うと変化をするのか?
皆さん、変化をすることが悪い事のように捉えているのかもしれませんが、変化にもいいものと悪いものがあるわけですね。
その違いを知ってもらうといいのかな、と思います。
クリーニング屋さんの間ではよくいうのですが、買った時の服には加工が施されています。
肌触りを良くしているものや、発色をよくしているもの、様々です。
で、洗うとこれが落ちてしまうので、変化を感じる、というのが理由。
さて、ここで加工をもう一度考えてみます。
その加工は果たして必要なものだったのか?という事です。
例えば、とある加工剤を使うと、ウールがカシミヤのような風合いに変化します。
元々はウールなのに、加工剤のおかげでカシミヤ風になっているわけですね。
で、洗うと加工剤が落ちてしまうので、元々の風合いに戻る。
この加工剤っていいものなのか、悪いものなのか、どちらでしょうか?
生地本来の風合いを偽装しているとも言えるし、より風合いよくしているとも捉えられる。
この辺の解釈はクリーニング屋さんによって違います。
加工剤が使われていたのだから、クリーニングをしたら加工剤を足さなければいけない、というクリーニング屋さんもありますし、元々の風合いが出たのだからそれがその服の本当の風合い、と考えるクリーニング屋さんもいます。
なんか化学調味料の話に似ているかもしれません。
当たり前のように化学調味料を使っていると、それを使わない料理が美味しくなく感じてしまう、そんな人もいらっしゃいます。
使ってない人からすると、化学調味料の味は明らかに違和感を感じて、逆に美味しく無いと感じたり。
服の加工剤もまさしくそれで、加工剤が落ちたものを悪いものと捉える人と、悪く無いと捉える人がいるんですね。
悪いと捉える人はもしかするとこんなふうに考えているのかもしれません。
クリーニングでおかしくしれたから変化したんだ、と。
洗ったら変化する理由、実はこれもあるんです。
加工剤が落ちた変化ではなく、適切な処理をしていなくて、生地に変化を起こしてしまったパターンもあるんですよね。
僕らはプロなので、加工剤が落ちた変化なのか、クリーニングで適切な処理をされていなくて変化を起こしたのか、みたり触ったりすればわかります。
でも、消費者の方は全くわからないですよね。
すると、中には加工剤が落ちた変化を、クリーニングが悪いからだ、と思ってしまう人もいらっしゃいます。
この辺の判断はとても難しい。
だから、もし、疑問に思ったらクリーニング屋さんに問い合わせてもらいたいんですね。
誤魔化されるかも?と不安に思うなら、他のクリーニング屋さんで聞いてもらっても構わないと思います。
パートさんやアルバイトでなく、きちんとしたクリーニング師の方ならわかりますから。
個人的な意見を書かせてもらうとするなら。
風合いの偽装を含めて、風合いが変化しないように作るのがアパレルの務めだと思っています。
服は着たら汚れるので、それを洗って再生してまた着る、これは服の当たり前の行動になります。
売っているときの、風合い、状態が売りならそれを維持できるような品質で出さなければいけません。
もし、それが出来ないのなら。
洗って落ちる事を明示する必要があるし、洗った時に何か添加する必要があればクリーニング屋さんや消費者に告知する責任があると思います。
きちんとした製品ってそういうものでしょう?
少なくとも、消費者は、アパレルに対して、きちんとした製品を出荷していると思っていますからね。
昔は出来てたんですから、今だってやれば出来るはずです。
わからなくて困るのは消費者ですよ。
消費者保護の観点からも、改善を望みます。
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