超撥水加工のTシャツは汚れるのか?
実験系のテレビ番組がありますね。
こんな事したらどうなる?みたいな大きな実験だったりするので、結果がどうなるか?ドキドキしながら見てしまいます。
今日、面白そうなやつを放送していました。
超撥水加工をしたTシャツ、どこまで汚れを弾くのか?
車のボディに使われるような撥水加工を生地にして、超撥水能力を加えたTシャツを汚すことができるのか?と言う実験。
カレーやケチャップ、コーヒーなどいろんなものを掛けていました。
僕らはクリーニング屋なので、撥水加工の事もそれなりに詳しいんです。
どれで汚れるか?予想をし始めます。(笑)
何種類か用意されたものを見て、まずは分類をするんです。
水に溶けるやつか、油に溶けるやつか。
そして、粒子の集まりのものか。
汚れって主にこの3つに分けられて、それぞれつき方が違います。
超撥水なので、水に溶ける奴は全て弾くだろうな、と言う予想は的中。
油に溶ける奴も弾くだろうな、と言うのも的中。
問題は墨汁などの細かい粒子の汚れです。
結果は、墨汁は弾くことが出来ず、汚れが落ちていませんでした。
撥水加工といえど、繊維の目に入ってしまう粒子の汚れは弾けないって事なんですよね。
今回のTシャツ、繊維一本一本に、撥水加工をしてあると言います。
川の中に入っても、外からも内側からも水を弾くのがはっきりと見て取れました。
これね、実用では使えないと思います。
なぜなら、全部弾いちゃうから。
このTシャツを着たら、汗疹が出来る人が出てくると思いますよ。
服に汚れをつけたく無い、だから弾いてしまえばいい、と言う気持ちは理解できます。
が、実は服は汚れてくれないと困るものでもあるんです。
体から出る汗を吸収してくれないと、体にすごく負担がかかるんです。
理想的な服って、汗をかいたら吸収してくれて、程よく発散をして乾いてくれる服がいいんですね。
綿製品だと、吸収はしてくれるけど、なかなか発散をしないので、濡れたままの状態が続いてしまいます。
でも、強度があるから、洗って汚れを落としやすいから、使い勝手がいい。
吸収発散性の高い繊維といえば、シルクです。
絹製品は軽くて、吸湿発散性が高いので、体への負担がほぼありません。
すごくいい生地だな、と思うんですが、繊細なのとデリケートなため、洗う時に気を使います。
うーん、全てを完璧に備えている繊維はまだまだ無いんですよねえ。
クリーニング屋として思うのは、汚れのつかないような加工をするよりも、汚れた服を洗ってまた着る、と言う循環の方がいいと思います。
体への負担も減りますしね。
着ていて気持ち良さが違いますから。
汚れがつかない加工は、全部を弾いてしまいますからね。
外の汚れだけ弾いて、内側の汗は吸収する、と言う繊維ができたら、また話は変わりますけど。
いつかそんな繊維が出来るのかもしれません。
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