すすぎ二回で臭いがしなくなるのは?
洗濯家こと中村くんのツイートが先日バズりました。
そのバズった内容は、濯ぎと柔軟剤の投入の話。
簡単に言うとこんな感じです。
濯ぎ一回の時は、柔軟剤はいれませんよ。
これに反応した人がたくさんいて、眼から鱗だったとか。
で、さらにそこからの説明の後、すすぎを2回に増やした人が洗い上がりの変化に驚いていたんですね。
洗濯後の変な匂いがなくなった、くすみがなくなった。
中村くんのリツイートを見てて、よかったなと思う反面、これだけ多くの人が反応をして、良くなったと言っている人がいると言う事は、洗えていなかった人が多かった、と言うことではないのか?と言う疑問が。
洗濯後の変な匂いで悩んでいる人は結構いらっしゃいます。
洗剤メーカーさんたちは、部屋干し臭とか名前つけてましたよね。
僕らもそう思っていました。
というのも、洗濯の工程で間違いが起こるとは思わないので、それで匂いが出る可能性があるとするなら、乾燥工程だろうな、と。
中々乾かず、その間に菌が繁殖をするから臭いが出るんではないか?と言うのは、プロなら誰でも容易に想像が付きます。
しかし。
今回の中村くんのツイートからの一件で、実はそうではなかったのではないか?と言う疑念が出て来たんですよ。
つまり、洗い方そのものが間違っていたのではないか?と言う話な訳です。
すすぎ二回にすると臭いがなくなる、というのは正しくありません。
一回すすぎで柔軟剤を投入すると、汚れを服に戻している、ということになり、それが原因で匂いが出てしまう、ということなんですよね。
1回目と2回目のすすぎは何が違うのか?
1回目のすすぎは、洗剤と汚れが一番多く出ています。
柔軟剤は、服に着きやすい成分で出来ていて、さらに性質として汚れを抱き抱えるようになっています。
つまり、1回目のすすぎの中に溶け出した、汚れや洗剤を、柔軟剤が抱え込んで服についている、という状態になるんですよね。
おー、想像するだけでもこわい。
2回目のすすぎは、1回目であらかた落とした汚れや洗剤成分の残りをさらに濯ぐためにしています。
理想は三回濯ぎなんですが、洗剤の濯ぎやすさによっては、二回で十分なものもあります。
柔軟剤を投入しなくても、一回濯ぎよりも二回濯ぎの方がより服に洗剤や汚れが残りにくいのは想像できると思います。
そりゃ、二回濯ぎをすれば臭いも出なくなりますよ。
クリーニング屋からすると、まさか濯ぎの回数が一回の人がそんなに多いとは思っていなかったので、盲点だったんですね。
だから、洗濯の匂いの相談を受けても、干し方に問題がある、としか想像できなかったんです。
これね、匂いの問題だけではなくて。
洗ってもきれいにならない、匂いが出る、ということが当たり前に思う人が結構いるんじゃないか?と思うと由々しき自体だと思うんですよね。
洗濯してもきれいにならにと思う人が増えれば、クリーニングしようと思う人も減ると思うんですよ。
だって毎日洗っているのに、きれいにならないのが当たり前なんだから、お金を払ってまで服を洗いたいと思いますか?
僕なら、そんな変わらないでしょ、それよりもある程度着たらまた買い直す方が経済的、と考えます。
洗ってきれいになる、とわからなければ当然そうなると思うんですよね。
でも、今回の事で、そもそもちゃんと洗えているのか?という問題が浮き彫りになりました。
正しく洗えていないだけでなく、逆に服にダメージを与えているケースがあるわけですね。
今までもいろいろとクリーニングや洗濯の相談を受けて来ましたけど、僕も少し考え方を変えなければいけないな、と思っています。
今まで以上に、僕の中の常識を消して話を聞くようにしなきゃ、と。
洗濯しましたか?ではなく、洗剤の種類や、すすぎの回数、乾燥時間など、僕らが当たり前だと思っている事は当たり前ではない、と思いながら話を聞かないと、原因がわからないんだな、と改めて思います。
それほど今回の中村くんのツイートからの流れは衝撃的でしたね。
洗濯って本当に人それぞれになってるんだなあ、と思います。
そんなに複雑なものではないはずなのに、いったいなんでこんな風になってしまったんでしょう?
洗濯家として生きていくことを決めた中村くん、これから大変だな、と思います。
これだけこんがらがってしまった洗濯を正しくして行かなきゃいけませんからね。
クリーニング業界も何か手伝いができるんじゃないかな?
いや、しなくちゃいけないと思います。
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