小さなありがとうが大事です。
この時期になると思い出す事があります。
僕らクリーニング屋さんも、外に出れば立場がお客さんに変わるわけで。
売る方、サービスを提供する側から、お客さんになると見えてくる事が結構あるんですよ。
従業員の教育がなってない。
接客が悪い。
いつもこう言う話をする先輩がいたんですね。
で、その人はよく接客の良く無いところとか気になることを話していたんです。
コップを置く時に音を立てるのは失礼とか、無愛想なのはいけないとか。
で、その人と食事に行ったりすると、イライラしてるんですよね。
店員さんの動きに一つ一つイライラしている。
しかも時には、店員さんに一言二言、嫌味とも取れるような説教をしてみたり。
そのうち店員さんも嫌そうに接客し始めるんですよね。
一緒にいて、こっちも気を使うようになります。
もう1人、僕が心から尊敬している先輩がいました。
その人は常々僕に言うわけです。
僕はね、どこのお店に入っても嫌な思いをした事は一度もないんだよ。
一般サービスしてもらうこともよくあるし。
この人はついているのかな?
運がいいのかな?
と思いますが、実は違うんですよね。
続けてこう言うんです。
ぼくは店員さんがコップを置く時に音を鳴らしても気にならないって。
そんなことでめくじら立てないと言うんです。
で、ある意味、鈍感力がある人なのかな?と思っていたんですが、一緒に食事に行ってみてわかったんですね。
気にしないのではなくて、怒らないんですよ。
そして、店員さんに丁寧なんです。
持ってきてもらったら、ありがとう、と言うし、下げてもらうときもありがとう、と言います。
すると、不思議なことに、店員さんも段々とにこやかになってくるんですよね。
で、一緒に食事を重ねて行って、オマケをしてもらうとかサービスをしてもらう意味が分かってきました。
店員さんも人ですからね。
嫌われている、怒られていると思えば、感情が移っていくんですよ。
先程の先輩、接客の悪さばかり指摘している先輩は自分で負の感情をばらまいていたわけです。
もしかしたら最初は穂をとうに接客の悪い店員さんに当たったのかもしれません。
でも、それを他の店まで引きずったり、これだからチェーン店はとか、アルバイトはとか、パートはとか、決めつけて斜に構えてみていたようなんですよね。
結果的に、自分で店員さんを困らせ、サービスの低下を招いちゃってたんだと思います。
周りの人でも、そう言う人、結構いるんですよ。
お店が悪い、いい店がない、ちゃんとした店がない、職人のこだわりがない、いろんな不満を言うんですが、それって実は自分に問題があるんじゃないの?と思う時があります。
不思議なもので、常にそう言う不平不満を言う人は、繰り返すんですよね。
どこに行っても、どんないいお店でも、不満なところを探して文句を言い、トラブルを起こす。
気付いてないんです、自分がそうしちゃっていることに。
悪いサービスを受けた事がない、と言う先輩は、確かに受けてないんですよね。
だって、自分もお店を尊重しているから。
真逆の2人の先輩と何度も食事に行ってますが、この違いは大きいなあ、と思います。
僕もお客さんになるので、小さいですがお礼を言うようにしています。
それは、悪いサービスを受けた事がない、と言う先輩の真似です。
真似するとね、本当に悪いサービスは受けないんですよ。
逆にお店のいいところばかり目がいってね。
こんなふうにうちもなりたいな、なんて考えるようになるんです。
この視点を教えてもらったのは人生でとても大きかったと思います。
毎年ねえ、この時期になるとこの話を思い出すんですよ。
なんでなのかなあ。
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