クリーニングをお勧めすると、必ずと言ってされる質問が一つあります。
クリーニングに出すと、匂いがして返ってくるんだけど。
あの匂いが嫌いで。
この質問にきちんと返しているクリーニング屋さんはあまりいません。
正しく返している、かな。
クリーニング屋さんから返ってきた服が匂いがする場合、考えられるのことがいくつかあります。
ほとんどのクリーニング屋さんは一つしか説明しないんです。
あれ、なんでなんだろう?
可能性として挙げられるものはきちんとあげた方がいいのにな。
通常、クリーニングから返ってきた服から、匂いがすることは本来ありません。
自分の匂いが残っていることはありますが、それ以外の他の匂いがつく、と言うことはないんです。
でも、するんですよね?
考えられるものの一つ。
ドライ溶剤の残留です。
クリーニング屋さんではドライクリーニングをすることが多いんですが、きちんと乾燥をしないとドライクリーニングの液体が服に残留してしまいます。
ドライクリーニングの液体は、揮発性の液体で、自然と揮発していきます。
成分は石油由来のものが多く、ガソリンのような臭いがした、と言う人の場合は、これが原因。
これね、この臭いがしちゃいけないんですよ。
なぜなら、きちんと乾燥をしてないって事ですから。
食べ物で言えば、きちんと火が通ってないまま、お客さんに渡しちゃった、と言うやつと同じです。
匂いが不快、と言うこともありますが、この状況は実はあまり良くないんです。
まず、揮発した気体を吸うのは体に良くありません。
気分が悪くなる人もいると思います。
また、この状態の服を着ていると、肌と擦れた部分が火傷を起こすことがあります。
これを化学やけどと呼んでいます。
結構深刻なもので、治るまでに半年とかかかるケースもあるくらいです。
もし、クリーニングから返ってきた服から、ガソリンのような匂い、石油のような匂いがした時は、クリーニング屋さんに持って行ってもう一度きちんと乾燥をしてもらいましょう。
クリーニング屋さんも匂いのチェックをして、乾燥がきちんとされているか?確認をしていますが、たくさんの服のチェックをしたり、ドライクリーニングの液体の匂いを常に嗅いでいると、わからなくなってしまう事があるようです。
お急ぎで受けるクリーニング屋さんに起こりやすいんですね。
例えばうちだと、特別に急ぎでなければ相応の期間、お預かりしています。
洗って仕上げるのはそこまで時間はかかりませんが、万が一、溶剤が残っていたら危険なので、余裕を持って乾く時間を設定してるんです。
安全は何よりも大事ですからね。
石油の匂いでもない、ガソリンの匂いでもない、ただ汗が凝縮したような匂いがする、と言うケースもあります。
自分がクリーニングに出した時にはこんな匂いはしてなかったはず、なのに、なんで?と思いますよね。
この状態は、逆汚染と言って、洗った時の環境が悪くて、一度落ちた汚れが服に逆戻りしてしまった状態なんです。
クリーニング屋さんでは一度にたくさんの服を洗います。
洗濯槽の中には、それらの服の汚れが全部落ちているわけですよね。
で、通常はその汚れは服に戻ることはないんです。
洗剤が汚れをキャッチして、服に戻らないようにしてくれています。
ところが、洗剤が足りなかったり、汚れの方が多かったり、服を詰め込みすぎたり、と洗濯槽の中の環境があまりにも悪いと、落ちた汚れがまた服に戻ってしまう事があります。
これが逆汚染。
逆汚染をすると、服の色は全体的にくすみ、匂いが発生したりするんです。
こうならないように、クリーニング屋さんでは常にドライクリーニングの洗浄液を管理しているんですが、中にはきちんと管理できてないクリーニング屋さんもいたりします。
この場合は、洗い直しをしてもらわなければいけないのですが、ここで一つ問題が。
洗いの環境が良くないところで洗い直しても直るのか?という事。
環境が悪いと何度洗っても同じにならないか?と言うふうに考える人も出てくると思います。
実際、何度も洗い直しをしたてもらっても改善しないケースもありますよね。
また、洗い直しで直るケースもあります。
環境も、その時たまたま悪いケースもあるし、常に悪いケースもあるので、この辺の判断はとても難しい。
もう一度洗い直してもらって改善しない時はお店を変えるといいと思います。
クリーニングから返ってきて匂いがする原因は主にこの二つが多いです。
でも、最近はこれ以外にも匂いが発生する事があります。
例えば、強い香水を使っていた時。
乾燥工程の熱で、匂い成分が分解して、ものすごい悪臭を発する事があります。
香水などの匂いってなかなか取る事ができないんです。
何度洗っても、匂いが取れなくて僕らも苦労しています。
ひどい時には一緒に洗った服にも匂いがつく時も。
香水の匂いがひどい時には、他の服とは別に洗うなどの工夫をしています。
そしてこれはここ数年の問題だと思うんですけどね。
そもそも服を着過ぎてひどく汚れているケースが増えてきています。
匂いがしたと言いますが、そもそも本人が気づいてない事もあるんですよね。
ここでも、服の着数が少なすぎるので、着る回数が増え、洗う事ができず、汚れがかなり溜まった状態でクリーニングに出てくるようになっています。
途中で洗う事ができないので、臭い消しを常にかけて誤魔化している人、たくさんいらっしゃいますよね。
臭い消し、常にかけていると、服がどんどん固くなりますよ。
固くなるとふとした拍子に力が加わったところが破れる事があります。
服が少ないって悪循環の始まりなんですよ。
このように、クリーニングから返ってきた服が匂うのにはいくつかの原因があります。
どれもこれも理由があって、裏を返せばきちんとしたクリーニング屋さんを利用していれば匂いなんてしないって事。
ここで一つ、皆さんに気づいて欲しいのですが。
例えば、何軒も回ってみたけど変わらなかった、と言う時。
本当に全部違うクリーニング屋さんに出していましたか?
場所は違うけど、お店の看板は同じじゃなかったでしょうか?
これね、クリーニング屋さんの不思議なんですけど、クリーニング屋さんって、お店の名前を覚えてもらえないんですよね。
どこもクリーニング屋さん、としか覚えてもらえてない。
すると、うちにお持ちになる前にこの周辺のクリーニング屋さん4件ほど利用してきたけど変わらなかった、みたいな話をされて、実はそれら全部同じ店だった、と言うような事が起きるわけで。
聞いたお客さんもびっくりしてますけど、多分一番驚いているのは工場の人たちだと思います。
何度洗っても、別の店舗から同じ商品がやってくるんですから。
いろんなクリーニング屋さんを利用してきたけど変わらなかった、と言うお話を聞くたびに、本当に違うお店に持って行ったら変わるんじゃないかな、と思ったりしています。
クリーニングへの不審はいいクリーニング屋さんと出会うと消えますよ。
ぜひ、探してみて下さい。
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