服のセーフティネット。
クリーニングの業界紙が来ました。
まあ、予想はしていたんですが、やはり業界全体の売り上げが落ちてて。
僕がこの業界に入った頃からおよそ4分の1にまで減少したことになります。
コロナの一撃が入った、と言う事ではあるんですけどね。
飲食が時短営業になったり、自粛ムードになったり、会社がリモートになったり、いろんな影響からクリーニングの量が減っていっています。
でも、数字と僕らの体感とはかなり差があります。
もっとひどいイメージだったのに、結果は減りはしたけどそこまででは無い、といった感じ。
ここでは何度も書いていますけど、コロナの影響は全国平均的には起きてませんからね。
東京が感染者が一番多くて一番影響が出ています。
その周辺の神奈川、埼玉、千葉は、近いのに東京に比べたら感染者数が全然増えていませんでしたから、東京ほどひどくない。
地方に行くと、コロナなんて対岸の火事で、2日に生活をしていた、というはなしをきいたりしているので、均したらこのくらいなんだろうな、と思います。
つまり、ひどい所はとんでも無く酷くて、そうでもないところはあまり変わらない、と。
ちらほらとクリーニング屋さんも辞めていきます。
クリーニング屋さん、特にこじんてんがやめていくと実は大変なことになるんですが、あまりそれに気付いている人はいません。
クリーニング屋さん、特に個人のクリーニング屋さんはね、服のセーフティネットなんです。
服に対するトラブルをクリーニング屋さんが知らず知らずのうちに対処して、普通に着られるようにしてきていたんです。
もし、個人店のクリーニング屋さんがなくなったら、大変なことになりますよ。
これは決して脅しでもなんでもありません。
個人のクリーニング屋さんがなくなったらどうなるか?
アパレルにクレームがたくさん行くことになると思うんですよね。
洗ったらこうなった、おかしくなった、と。
表示通りに洗ったのにおかしくなった、他の服に色が移った、こんな話がたくさん行くと思うんですよね。
クリーニング屋さんに渡したら、受け取るまでどんなことが起きているか?知っている人はあまりいません。
僕ら個人店のクリーニング屋さんは、表示に書いてなくても、間違っていても、トラブルが起きなように経験から察知して、その服を洗うのに一番適した洗い方を選択して洗っています。
つまり、トラブルを未然に防いでいるんですよ。
クリーニング屋さんの間ではたまにやり取りされますが、こんなに色が出たよ、と言う一言とともに、漬け込みをしようと洗濯液に服をつけた写真がやってきたりします。
洗濯液がありえない色をしているんですよね。
真っ赤とか、真っ青とか。
服の色が溶け出しているんです。
特別なことをしているわけでもないんです、表示通りに洗おうと洗剤の溶けた水に漬けただけで、色が出る。
もし、これを大きな洗濯機の中で、他の服と一緒に入れていたら。
他の服がこの色に染まってしまうんです。
で、こう言うことは珍しい事ではないんですよね。
割と良くある話なんです。
僕らは危ないな、と事前に察知をして、他の服とは一緒に扱わずにその服単品で洗うようにして他の服に影響が出るのを避けています。
当たり前のようにやっているので、この事を誰にも話しませんし、特別な作業とも思っていないから、お客さんにも説明をしません。
ちょっとした事ですが、僕らのやっていることが、服をトラブルから未然に守り、普通に着るお手伝いをしているんですね。
服のセーフティネットというのはこう言う事。
僕らが最後の砦なわけですよ。
なんで個人のクリーニング屋さんに限定をしているか?というと、チェーン店ではアルバイトやパートさんばかりできちんとした資格者が作業をしてないケースが多々あるからなんです。
チェーン店でも資格者はいますが、作業をしている人は資格者でないことがほとんどです。
だから、気付かずにトラブルを起こしてしまうことがあるわけですね。
これは安さと引き換えにプロを使っていないのである意味仕方ない。
安心を買いたいならプロのいるお店に頼むしかないわけです。
コロナの影響で個人店の閉店も増えてきています。
服のセーフティネットが機能しなくなったら大変なことになるなあ、と個人的に危機感を感じています。
コロナが終息しても元に戻る保証はないですしね。
どうなる事やら。
クリーニング屋さん、個人店が残り、事業継承をしていかないと遅かれ早かれ技術がなくなってしまいますからね。
5年後、どうなっているかなあ。
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