洗える服とは?
クリーニング屋の僕らはアパレルに対して、洗える服を作って欲しい、と言います。
理由は色々あります。
汚れの種類によって洗い方が変わるので、この洗い方はできない、というのは非常に困ります。
また、洗えない服は着用の期間が短くなり、サスティナブルの観点からいってもNG。
服を長く、出来るだけ同じ形で、同じ風合いで、着るためには洗える様に作られている必要があるわけです。
現在は、洗うと変化してしまうものを、変化を起こさない様に気を使いながら洗っています。
つまり、限界ができてしまうんですね。
さて、ここで洗える服ってどんなものか?と考えると思うんです。
洗える様に作るとファッショナブルでは無くなる、そう考える人が結構います。
昔、ウォッシャブルと名のついた服は、ほとんどがおしゃれではなく、のペーっとした服だった、とクリーニング学校の先生が話してたのが印象的。
洗えるとはどういう事か?
そんな複雑な話ではないんです。
別にそれをしたからと言って、ファッショナブルにならないわけでもない。
気をつけるポイントというものがあります。
異素材を組み合わせるときには注意をする。
なぜ異素材を組み合わせるときに注意をするのか?というと、素材が変わると洗い方が変わることがあるからです。
わかりやすい例だと、ダウンコートの襟のファー。
ダウンとファーの洗い方は違うので、縫い込んでしまうとアウト。
丁寧な商品ならファーが取り外しができる様になっていて、別々に洗える様になっています。
ワンポイントで皮が使われているとかも同じ。
皮は生地と違うので洗い方も違う。
一緒に洗うのが難しくなります。
なるべく一緒に使わない、使うなら取り外しができる様にする、これだけで十分洗える服になります。
また、繊維同士の異素材も注意が必要です。
なぜなら、素材が違うと縮み率も変わるから。
綿とポリエステルでは縮み方が違います。
同じ様に洗っても片方だけ大きく縮み、片方はそれほどでもない、という状態だと、歪になるんです。
伸び方も変わるから作りを良く考えないといけません。
この辺りはアパレルさんの方が詳しいと思います。
わかっていても、デザイン性を優先したり、コストを優先したりして見逃すと、販売した後にトラブルになる可能性が大きくなります。
次に染色に注意をする。
これ、割と多いんです。
洗ったら生地から色が溶け出すとか。
生地には染色堅牢度と言うものがあるんですが、これの弱いものが出回ることがあります。
洗って色が出たらその服もおかしくなりますが、、一緒に洗っている服にも色が移る可能性があります。
そうすると被害は甚大。
その服一着の問題ではなく、一緒に洗ったものまでおかしくしてしまうので、色の問題はとくに注意をしていただきたいなあと思います。
そして。
やはりここがポイントかな、と。
製品での洗浄テストは必ずやって欲しい、そう思うんです。
洗えばその服の問題点はすぐ分かります。
洗浄テストの時点なら修正もできるでしょう。
問題のある製品を出して、リコールを起こす方が嫌じゃないですか。
最終確認として、洗浄テストはして欲しいなあと思います。
洗うとシワになるから、洗えない、と表示をつけてしまうところもありますが、シワはアイロンで取れます。
そこは気にせず、ファッショナブルで洗える服を作ってください。
メンテは僕らクリーニング屋が受けますから。
これから洗える服が増えるのを楽しみにしてます。
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