見たこともない生地。
たまに話をしていて、クリーニング屋は世間からズレてるのかなあ?と思う時があります。
僕らからすれば当たり前の話なんですけど、他の人に話したときに笑われたり、そんな事が?と変な反応をされる事があります。
先日もこんな事がありました。
クラブハウスのルームの中で話をしていて、クリーニング屋さんに悩みありませんか?みたいな話が出たんですよね。
で、悩みの一つに、洗濯表示が怪しいので困る時がある、と話したんです。
特に、みたこともないような繊維とかが出てきたときに困る、と話したら、一斉に大笑いされて。
みたこともない繊維?
どうもこれがわからなかったみたい。
クリーニング屋をやって約30年ほど経ちます。
一応勉強をしているので、知らない繊維はほぼありません。
それでも、新しく開発された繊維とか、いろんな繊維を複合的に混ぜた繊維、コーディングされた物だったりすると、今までとは全然違う風合いのものがあったりするんです。
まず僕らは触った感じでどんな服か?判断をします。
クリーニング師の資格を取るときに、繊維の鑑別で触って繊維を当てる、と言うことをやるので現場でも触った時の触感はとても大事。
その時に、あれ?と思う事があるんですよ。
今までに触った事がない感触だったりするんです。
そこから初めて洗濯表示、繊維表示を確認をします。
表示と触った感触が違うと、あれ?と思うんですよね。
表示が本当なのか?何かコーティングされているのか、生地の下側に何かあるのか。
頻繁にあるわけではないんですけど、僕らからするといつもと違う感触ってとても怖いんですよね。
なぜなら、扱いを間違うと事故になるから。
変な感触の理由をきちんと知らないと洗えません。
もしかしたら、裏に何か接着剤で貼り付けてあるのかもしれないし、コーティングされてるのなら洗って取れるかもしれないし。
なので、僕らの頭の中にあるもの以外の感触が来た時に、知らない服が来た、と僕らの頭の中では、エマージェンシー!!!と警報がなるんです。
たぶん、この感覚って普通の人にはないんでしょうね。
最近は服の形で服を説明する人が増えてますから、素材のことを話す人はアパレルにもあまりいなくなりました。
見たこともない服、触ったこともない服、なんて感覚、クリーニング屋さんだけのものかもしれない。
作る側は面白い感触の素材が出来た、になるでしょうしね。
やはり、洗うということは日常ではないんだなあ。
クリーニング屋さんならではの感覚ってあるのかもしれない。
あまり驚かれると、話すのを躊躇ってしまうようになります。
でも、発信し続けないといけないんだよなあ。
じゃないと、いつまで経っても僕らが感じてることを伝えられないから。
笑われても発信し続けるしかないですね。
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