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フェルト化とは?

言葉って不思議なもんで、同じ言葉でも使うところが違うと意味が変わることがあります。

今日は、もしかして違う風に解釈してるのかな?というお話。



先日、とある所で女性のセーターの脇が縮む、という話をしました。

男性にはあまり見られない、女性に多い現象です。


セーターがフェルト化してるんですよね。


原因は、汗と体温。

ウール特有の現象なのですが、ウールは濡れるとウールの表面の鱗が逆立ち、擦れる事で絡まり合い縮むんです。

これを縮絨(しゅくじゅう)といいます。

熱が加わると鱗が開きやすくなるので熱と水分と揉み作用、この三つが必要になります。



話をしたときには詳しい説明はしないで、軽く汗が原因ですよね、みたいな話をしたかと思います。

すると、ダイレクトメッセージを頂きまして。


女性のセーターの脇が縮むのはタイトなデザインが原因です、と。


こう書かれていました。

これね、間違いなんです。

確かにタイトなセーターはなりやすいと思いますが、それはタイトだからではないんです。

タイトなセーターでも汗をかかなければフェルト化はしません。

フェルト化には汗と体温ともみ作用、これが絶対に必須。

タイトなセーターは擦れやすいので、フェルト化が起こりやすいとも言うことはできるかもしれませんけど。



なんでこんな風に考えたのかなあ?とちょっと考えてみました。

そして、もしかしたら?と思うことが一つ。


手芸に、ニードルフェルティングという技術があるんです。

これは特殊な針をウールに何回も刺すことにより、フェルト化させる、というもの。

返しのある針をザクザクと刺すことで、ウールが絡まり、フェルト化する、というのが原理です。


もしかして、これがフェルト化の原理と間違ったのかなあ?



そんな風に考えました。

この現象だけ見ると、別に水分も必要ないし熱も必要ありません。

ただ、針を刺すだけ、擦れるとフェルト化する、という風に見えなくもない。


フェルトという言葉は同じでも、随分と解釈が変わります。



でも、これって実は同じ話をしているんです。

なぜなら、フェルト化の本質は、鱗が逆立って絡み合うことだから。


それを水分と熱を使っているか、針を使っているか、の違いなんですね。


で、この原理をきちんと知っていると、ただ針を刺しただけではフェルト化しないとわかるし、タイトなセーターという理由だけでフェルト化しないというのもわかる。


糸って何本かの繊維を集めて捻って強度を持たせてあるんですね。

このねじりを強くすると縮みづらい糸になる。

ゆるく捻ってあると縮みやすくなる。

この理由も簡単、強く捻ると動きづらくなるから。

ゆるく捻ると繊維が動きやすいから。


ここがフェルト化の要因の一つ、揉み作用に関わってくる訳ですよ。



僕らクリーニング屋はウールを繊維の段階から細かく学びます。

だから当たり前のように原理を知っているんです。

で、気になったので、フェルティングを検索してみました。

すると、僕らとは少し違う解釈をしている。


針を使い、繊維を絡ませ圧縮させる事、と。



うーん、なんとなく解釈が違う。

そしてこの解釈だと、どうしてフェルト化するのか?わからないだろうな、と思うんですよね。


同じ現象、同じ言葉を使っているのに、この差は大きいと思います。


で、こういう学び方をしているなら、アパレル関係の人は色々誤解してるだろうなあと思うんです。



僕らは水を使って洗いますからね。

フェルト化を正しく知ってないと怖くて洗えない。

縮ませるわけにはいかないんですから。



頼まれたことはないですけど、縮ませて!と言われたら簡単にやれますよ。

原理を知っているのでお安い御用です。(笑)

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