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ユーザーの声。

去年一年はとにかく世の中の洗濯が壊れている、と言う話をしていました。



clubhouseが日本に入ってきて、僕らもそれに参加して。

そしていろんな人とお話をするうちに、一般家庭の洗濯がおかしくなっていると言うことに気づいたんです。


原因はいろいろありました。



洗濯機がそもそもおかしいとか。

洗剤がおかしいとか。

洗い方を知らないとか。



消費者がそもそも洗濯をよく知らない、と言うのは一度置いといて、でも洗濯機メーカーや洗剤メーカーはプロなんだから変なものを世に出すことがそもそもおかしいだろう?と思ってたんですね。

 


洗濯機は全自動洗濯機な訳です。

洗濯物を入れて、ボタンを押せばあとは機械がおまかせでしてくれる。

メーカーがきちんと作れば何の問題もないと思うんですよ。

だから洗濯機メーカーがそもそも洗濯を理解していないんじゃないか?と思ったんですよね。



去年、クリーニングやさんの友達や洗濯王子の中村くんと洗濯の教科書を作ろう、と言う話をしまして。

世の中にはいろんな洗濯のやり方の本はあるけれど、どれもこれも現実では使えないものばかりだから、現実的で本当に効果のあるものを作ろう、と言う話になったんです。


そこで、クラブハウスの中でルームを作り、洗濯の教科書を作る過程を公開して、さらに質問なども受けたりしながら去年の後半はやって来ました。


年末までには大体教科書の材料は揃ったんではないか、と思います。



ところが、です。



後はまとめるだけ、になってから停滞してしまいました。

原因はいろいろあるんですが、大まかにいうと、消費者の人たちが求めるものと、僕らが原因と考えることに乖離があった事、これが大きな要因でした。



正しい洗濯をしようとするといろんなことを覚えて考慮しなければいけません。

素材の特徴、作りの違い、色、風合い、洗濯絵表示、装飾品、これらを考慮しつつ、洗剤を選び、洗い方を選び濯ぎの回数を選んだり、糊や柔軟剤の使用の有無、脱水の時間、仕上げなどなどいろんな事を決めていくわけです。



こうすればいい、と言うのはなくて、ものによって、汚れ方によって、カスタマイズしていかなければダメなんです。


カスタマイズといっても、一度覚えてしまえば、複雑な選択があることも無く、数種類に分かれていきます。 要はその分け方が出来るように少し覚えていかなきゃいけないんですよね。


しかし、一般の方が求めているものはそう言うことじゃないんです。



とっておきの秘策や、ワンポイントアドバイス、ちょっとしたコツが知りたい。


これ、全然違う話でしょう?



確かにコツやワンポイントアドバイス、秘策ってあるんです。

でも、それらは特定の状況下の話であって、洗濯全般に言えるものではないんですよね。

だから、状況が変わると全然使えない話になってしまう。


なぜこう言う事を聞いてくるのか、考えたんですよね。

  


多分、皆さん洗濯に自信があるんですよ。

でも、その自信には根拠はなくて、理由もよくわかってない。

マイルールのようなもんです。

で、自分では自信あるけど、理由はないし、本当に綺麗になっているか?と言われるとそこまでの自信もない。

だから、そこにちょっと付け足すようなアドバイスがあったら欲しいな、と言う感じなんだろうと思うんですよね。


これをしたらもっとよくなるよ、みたいな感じで。


でも、先ほども書きましたが、洗うものが変わったり汚れが変わったり、状況が変わるとアドバイスも変わってくる。

結局、きちんとした知識や理屈を知ってないとコツやアドバイスもつかえないんですよね。



ここでどうまとめるか?悩んでしまったんですよ。



本当は必要だから学んでほしい、けど読む人たちが欲している情報は違う。

なら、欲している情報を中心にまとめていったらいいのか?



ここで気づいちゃったんですよね。



あ、洗濯機メーカーや洗剤メーカーが変なの作るの、これが原因だ、と。



彼ら、必ずこう言うんですよ。

ユーザーの声です、と。

そう、ユーザーが欲しているんです、そう言うものを。

それに特化したものを作るからおかしなものが出来上がるんです。



洗濯機も使い方の問題で綺麗になってないのに、もっとドロ汚れが落ちる洗濯機を!とか柔軟剤の匂いを残すような洗濯機を!と言われるから、わざわざそう言ったコースを作ってみたり。


で、要望のまま作るから最初は、こういうのが欲しかったのよ!と絶賛してもらえるんだけど、根本的な解決になってないから時間の経過と共に批判がではじめる。


でも、ほしいと言ったのはユーザーなのになあ、と思ってるでしょうね。



洗剤メーカーも同じ。


こちらも洗い方の問題なのに、部屋干し臭のしない洗剤が欲しい、皺のつかない洗剤が欲しい、濯ぎの回数の少ない洗剤が欲しい、と言う要望をもとに、それに特化した洗剤を作る。

要望通りだから評判はいいけど、結局汚れが落ちてなくて不満が出る。



これの繰り返しで洗濯がおかしくなっていったんだな、と気付いたんですよね。


洗濯の教科書を作り始めていろんなことに気づきます。



もし、僕らがワンポイントアドバイスやコツなどを紹介するような洗濯の教科書を作ったら。



それはきっと何も変わらない教科書になると思うんですよ。

今までと何も変わらない、既にある洗濯関係の本と同じものができるだろうな、と。

そして、最初はそれなりに評価してもらえるけど、その内、これは使えない、これでは綺麗にならない、と不満が出るものになっていくだろうなと思います。



いろんな声が聞こえて来ますが。

グッと堪えて、この先にはみんなが正しい洗濯を学び、綺麗に洗えるのと同時に、自分で洗うもの、クリーニングに出すものをきちんと分けられて、いい状態で服を長く着られる未来が待っている、と信じて作っていこうと思います。


必要なのは考え方だ。

コツやヒントじゃない。


日本の洗濯は素晴らしい、と言われる未来を作らないとね。

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