毎週、木曜の夜。clubhouseでクリーニング屋さんの友達と洗濯ラヂオというのをやっています。
今日はそこで出た話を。
クリーニング屋さんに行くと、デラックスコースとかプレミアコースというコースを薦められることがあります。
それって普通のクリーニングと何が違うのか?という質問が来ました。
デラックスやプレミアというコースに特に決まりがあるわけではありません。
お店ごとに決めているコースです。
例えば当店にはそういうコースはありません。
白洋舎では、カシミヤなどが入っているとデラックスコースでの受付となるらしいです。
デラックスと言われると、何か特別なことをされているような気がします。
普通のクリーニングと何か工程が違うのか?特別な洗剤が使われるのか?少し期待してしまいますよね。
僕の知る限り、いくつか種類があるようです。
ひとつは、仕上げにアイロンかけをするのでデラックスという扱いにしているクリーニング屋さん。
洗い方は特に他と変わらず、仕上げにハンドアイロンでの仕上げをするのでデラックスという名前にしているんです。
という事は、普通のクリーニングではアイロンで仕上げてないんだな、ということがわかりますね。
仕上げ方の差でデラックスかスタンダードかを分けている、ということになります。
他にはドライクリーニングだけでなく水洗いもするのでデラックスと名付けているクリーニング屋さんもあります。
同じように水洗いとドライクリーニング両方することをWクリーニングと名づけているところもありますね。
撥水加工や防虫加工をする事でデラックスと名づけているクリーニング屋さんもあります。
クリーニング屋さんでできる加工をさらにつける事でデラックス感を出しているんですね。
素材の違いでデラックスと名づけているお店もあります。
ここの考え方は少しわかりづらいと思うんですが、そもそもカシミヤやアンゴラ、シルクなどの素材は他とそもそも扱い方が変わります。
デラックスと名づける事で料金の違いをわかりやすくする狙いでつけているクリーニング屋さんもあります。
みんな、何かしら理由があるんですよね。
ここで問題なのは、デラックスやプレミアと名づけているサービスが何をしているか?きちんと伝えてない事だと思うんですよね。
高級感を出し、スタンダードよりもいいサービスをしてくれそうな雰囲気を醸し出すんだけど、具体的に何をするのか?はわからない、という。
ガソリンのレギュラーとハイオクくらい、わからない人にはわからない話になっちゃっているんですよね。
ハイオクとレギュラーはちゃんと違いがあって使い分ける必要があります。
クリーニングのデラックスもきちんと伝わるといいんですけどね。
そもそもなんでデラックスができたのか?というと、クリーニング料金を上げるためなんです。
クリーニングって、今までも品物によって洗い方を変えてきました。
どれもこれも同じように洗えたら苦労はしないんですが、それをしてしまうとおかしくなる服が出てくる。
なので、服に合わせて、洗い方や乾燥の仕方を工夫する必要があるんです。
ここまでは同一料金で中の仕事は分けている状態ですね。
そのうち、クリーニングの仕事も多様化してきたんですよ。大手チェーン店が出てきて、仕事が簡略化していき、その代わりクリーニング代が安くなりました。
安くなるという事は、何かしらの工程が省かれています。
ここで主に省かれたのは仕上げ工程でした。
アイロンを掛けず、あらじわが取れた状態で仕上がったとしてお返しするクリーニング屋さんが増えたんですね。
ここにデラックスという概念が出てきたわけですよ。
アイロンをかけることでワンランク上のクリーニングを、という話です。
なんかおかしくないですか?
元々は同一料金内で、クリーニング屋さんの中で洗い分けていたのに、クリーニング代が安くなることで省かれた工程を元に戻すのにデラックスを名乗るって。
でも、このデラックスという流れは止まらなかったんですよね。
他のクリーニング屋さんも真似をし出して、デラックスというコースが色んなクリーニング屋さんでできることになっていったんですね。
個人店でもデラックスというコースができました。
でも、個人店は普段から丁寧な仕事をしているところが多いので、いまさら差別化をするようなコースってなかなか作れないんですよ。
そこで、先のような独自の解釈のデラックスを作ってメニュー化した、というわけなんですね。
これね、クリーニング屋さんだけ見ていると変な話だなあと思えるんです。
でもね、クリーニング屋さんだけが悪いわけじゃないんですよ。
クリーニング屋さんに持っていった時に、普通に洗ってください、と言ったことある人、いるでしょう?
カシミヤやアンゴラなどや、礼服をクリーニングに出した時に、普通で、と言う人がたまにいます。
これ、僕らからしたらすごく困るんですよね。
なぜなら普通に洗うことができない服だから。
それを普通に洗って、と言われちゃうと困るわけですよ。
本来なら素材ごとに分けて、なるべく元の状態を維持したまま洗い上げたいのに、普通って。
それって他の服と同じように扱えと言うことなのかな?と思うわけですね。
そんな事したらその服がおかしくなるのは目に見えている。
おかしくなったら僕らがお客さんに怒られるわけですよ。
なんて事してくれたんだ!と。
本来なら、洗い方が変わる、コストも変わる、料金も変わる、と言う事なんですが、お客さんの方でなぜ料金が高くなるのか?理解されてないからこんな話をしてくると思うんですよね。
何にも変わらない仕事をしてるのに、足元見て高くふんだくってんだろう?
そう思う人もいるんでしょうねえ。
普通に洗えない服を普通に、と言われてしまうので、デラックスと言うコースをわざわざ作って理解してもらおうとした、と言う側面もあると思うんですよね。
当店でも数年に一度くらい、言われますよ。
なぜ、これとこれが値段が違うんだ?と。
だって品物が違いますもん、としか言いようがない。
お客さんには同じような服に見えても、僕らクリーニング屋さんには同じようには見えない。
同じようにカシミヤを使われていても、繊細なカシミヤもあればさらに繊細なカシミヤもある。
購入する時の値段も違ったはずです。
その値段にも意味がある、と言う事。
服に見合ったクリーニングをしようとすると当然料金も変わるのは普通ではないですかね?
昨日のclubhouseでは、この質問に対してこう答えていました。
そのクリーニング屋さんで普通のと何が違うのか?聞いてみましょう、と。
聞く事で、そのお店の方針がわかるし、どんなふうに気を遣ってクリーニングしてくれるのか、もわかると思います。
ぜひ、聞いてみてほしいなあと思いますね。
クリーニング屋さんがただ洗っているわけではない、と言うことも段々と浸透してきていると思います。
分からないことがあったらぜひクリーニング屋さんで質問してみましょう。
そこから見えるものがあるはずです。
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