パタゴニアのシェルのジャケットのお手入れ方法の解説をしました。
パタゴニアがシェルジャケットのお手入れの方法を書いていました。
独特な表現で書かれていて、たぶん読んでいる人には心地いいものかもしれません。
間違いではないんですが、具体的に何を言っているのか?これでは誰もわからないと思うので解説してみようと思います。(笑)
まず、こう書かれているんですね。
シェルジャケットはこまめに洗濯したほうが機能が落ちない、と書いてあります。
その理由は表面にベタッと水が残る状態だと膜ができてて、服の中の汗などの水蒸気が外に出ず染み込んだと勘違いしてしまう、と。
これ、何を言っているか?と言うと、透湿防水布の機能が汚れによって損なわれた、と言っているんです。
だから、洗いましょう、と。
透湿防水布、耳慣れませんよね?
他の商品で言うとGORE-TEXとかのことを言います。
特殊な生地で、水蒸気の粒は通すけど水の粒は通さない、と言う細かい穴が空いているんです。
粒の大きさの違いを利用して穴の大きさで通る粒と通らない粒を選別しています。
これによって、汗をかいても外に出て、水に濡れても中に入ってこない、と言う特殊な服が出来上がります。
しかし、その穴が塞がれてしまうと中からの水蒸気が外に出ない。
その目安となるのが、表の生地についた汚れで、普段は撥水効果で水を弾くんだけど汚れがついていると水を吸いつける効果があるのでベタッとした感じになる。
これは汚れているサインだから、こうなったら早めに洗って汚れを取り除き、穴を塞がないようにしたほうがいい、と言っているわけです。
さらに続きます。
具体的に洗い方としては家庭でもできるよ、と。
洗濯機で洗ってからしっかりと自然乾燥をさせ、乾燥機で熱を加えてあげればいい、と。
これだけ見ても素人の人にはわからないですよね。
簡単に捉える人もいれば、深読みする人も出てくると思います。
解説しますね。
シェルを着ていく場面を登山やアウトドアに限定して考えると、汚れは油性の汚れより埃や土、汗などになると思うんですね。
すると、家庭での水洗いでも表面の汚れは落ちてくれると思うんです。
まずはそれで十分、だと。
そして、自然乾燥をするのは生地の構造から高温の熱を加えると剥離などが起こることを懸念してのものだと思います。
透湿防水布と言うのは何層にも生地が重なっていて効果を発揮しているので、それが剥離してしまうと効果が出なくなる、と。
では、最後の乾燥機で熱を加えるとは?
これは撥水加工を強くさせるために行う処理です。
透湿防水布といえども撥水加工が施されています。
この撥水加工、加工剤が綺麗に整列していると効果が強く出るんですが、着用しているとこの整列が乱れるんですよね。
で、熱を加えると整列しなおして撥水効果が復活をします。
なので、自然乾燥で乾かしたのちに熱を加えてね、と言う話をしているんです。
パタゴニアでは、乾燥機がない場合は、ドライヤーやアイロンで熱を加えてもいい、と書いてあります。
確かにこれでもいいですね。
で、熱で生地が溶けないか?と言う心配をされる方もいるかもしれませんが、溶けません。
溶けるような温度まで上がったら大変なことですよ。
アイロンは高温にしないでくださいね。
これはちょっとまずい。
ドライヤーなら普通に平気だと思います。
と、パタゴニアさんは説明をされているんですが、しかしこれ案外洗うの大変だと思うんですよ。
なぜなら、透湿防水布ですよ、水を弾くんですよ、濡れないんですよ。
ね、洗濯しても浮いてきちゃう。
これ、洗えているのかなあ?と不安になる人はたくさんいると思います。
そんな時はクリーニングに出しましょう。
クリーニング屋さん、綺麗にしてくれますよ。
洗濯の仕方を教えてくれるのはいいんですが、手順だけ解説して、その理由が曖昧な表現にしているのはどうなのかなあ、と思います。
そこにはきちんとした理由があって、そのやり方でやる理由があるわけです。
これを知っているのと知らないのとでは同じ作業をしていても効果は全然変わります。
なぜなら、それをやる理由をきちんと知っているから。
意味もわからないでドライヤーで熱を加えてたら、不安になりません?
これ、なんの意味があるんだろう?って。
下手したら、芯まで乾かすためかな?とか変な想像をしちゃう人も出てくるかもしれません。
すると今度は、同じ乾かすなら最初から乾燥機で、とかドライヤーでとか言う人も出てくるかもしれない。
そう言う人が出てこないように、その作業で何をしているか?の説明は必要だと思います。
この話、クリーニング屋さんには当たり前の話なんです。
僕ら、こんな風に構造や問題点を把握して洗っています。だから綺麗になるし安全に洗えるってわけです、
下手すりゃパタゴニアの人よりも知っているかもしれません。(笑)
パタゴニアにお勤めでもシェルの構造は知らない人もたくさんいるでしょうしねえ。
服のメンテナンスはやはりクリーニング屋さんのほうが詳しいと思います。
相談するならクリーニング屋さんへ。
| 固定リンク | 0
「ファッション・アクセサリ」カテゴリの記事
- 臭の原因はスーツの着数にあり。(2024.08.15)
- クリーニング屋の倒産の本当の意味は?(2024.07.01)
- 公式中古。(2024.03.27)
- 100年持つ服を作るとしたら?(2023.02.22)
- パタゴニアのシェルのジャケットのお手入れ方法の解説をしました。(2023.01.19)
「クリーニング」カテゴリの記事
- 周りのお店を利用しましょう。(2024.11.14)
- 僕のブログの中で一番短い内容です。(笑)(2024.11.16)
- 綿は案外厄介ですよ?(2024.11.15)
コメント