知識でぶん殴る必要なんてないでしょ?
僕を含めてクリーニング屋さんって、今まで知識でお客さんをぶん殴ってたと思うんですよね。
物騒な表現ですか、でも、こんな感じなんですよ、まさに。
どう言うことかと言うとですね、自分がいかに拘っているか、消費者が想像もしないような細かいことを気にしているか、すごい仕事をしているか、それを分かってもらうために消費者のわからない言葉で打ちのめしてたんですよ。
で、消費者は話されてもほとんどわからないじゃないですか?
するとどう返すか?と言うと、だいたいこんなことを言うんですね。
すごい、そんなに丁寧に仕事されてたんだ!とか。
クリーニングって奥が深いんですねえ、とか。
一見、理解してもらえて褒められたような気がしますが、リアルは違うと思うんですよね。
なんかよくわからないけどこだわってやってるんだなあ、って。
どの辺がこだわってたと思いますか?どの辺が奥深いと思いましたか?と質問しても返ってこないと思うんですよね。
そんな短時間でわからない言葉羅列されてもわかるはずないもの。
でもクリーニング屋さんって、その言葉を聞くと喜んじゃうんです。
嬉しくなっちゃう。
そして、本当に知ってもらいたいことを伝えられないまま、また時間が過ぎていくんです。
なんですかねえ、これってクリーニング屋さん特有のものかと思ってたんですよね。
僕がクリーニング屋さんになった当時ってクリーニングのクレームって物凄く多くて。
で、クリーニングを信用してない人が世の中に沢山いるように感じがしていました。
それの原因が大手チェーン店だと思ったり。
実の悪いクリーニング屋がいるから全体が悪く見られているんだ、とか思ったもんです。
信用してもらえてない、と思うから承認欲求が強く出て。
それで先ほどのような知識で消費者をぶん殴るようなことをして、認めさせたがってたんですよね。
しかし、いろんな業種を見ていると、不思議なもので自分は認められている、褒められている、と思ってる人ってほとんどいないんですよね。
逆に、僕らと同じように認められてない、ともすれば嫌われてるくらいに感じてる人って沢山いたんですよ。
だけど、周りの業者はほとんど知識で僕らをぶん殴ってはこないんです。
たまにはいますけどね、でもほとんどはそんな事してこない。
そんな事しても本当に認めてもらうわけではないって知っているから。
ここがクリーニング屋さんとの違いなのかなあ、なんて思います。
誰かの歌にありましたが、頑張ってない人なんていないんですよ。
どんな仕事でもみんな頑張っているし、僕らが知らないだけで専門的なことを知らないうちにやってくれてる。
そうして世の中は出来ているわけですね。
認めてもらいたい、と言う欲求は分からなくはないです。
でも、それは心の弱さを表してもいるので、もうそこから離れてもいいんじゃないかな、と思ったりしています。
伝えるのに知識でぶん殴る必要はないです。
大事な事を、わかるように丁寧に、淡々と伝えていけばいい。
別に話した事ですごく評価してくれなくてもいいです。
俺ってすげえだろ?っていいたいわけじゃないから。
伝えたいのは自分の凄さではなく、服の話だったり洗濯の話だったり、クリーニングの話だったり。
それがどう大事なのか?と言う事を伝える事が大事なわけですからね。
とこれを誰に向けて書いているのか?と言うと僕を含めたクリーニング屋さん全員へ。
特に職人を自称している人たちは、自分を見直した方がいい。
もう令和ですよ。
昭和や平成は過ぎました。
職人も先に進まないといけないと思いません?
世の中に合わせるってこう言う事ですよ。
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