変わるのは誰?
クリーニング屋になってから30年近く経っています。
僕が二代目でお店としては50年以上。
この間、いろいろと変わってきました。
クリーニングの利用の仕方も変わりましたし、服も変化しました。
また環境も変わりましたよね。
夏はあんなに暑くなるなんて思いもしませんでしたし。
33度なんてなったら動けない、と思っていたのが、そのくらいは当たり前でものすごく暑くなると40度近くになる。
子どもの頃、こんな恐ろしい世界になるかもしれない、と恐怖を煽られた雑誌とかの話がリアルになった感じです。
それに合わせて生活も変化してきました。
服の着方も変わったし、服のお手入れも変わった。
冬服は衣替えの時期になったら洗ってしまうのが常識だったのが、着る前に洗うに変化し、今は衣替えという概念もだんだんと無くなってきています。
忙しい、というのもあるんでしょうね。
休日は埋まっていて、大型連休にならないと服の整理ができないという人もいるでしょうし。
また、洗濯機も気づかないうちに変化しています。
昔の洗濯機ならすすぎ3回が当たり前でしたが今や2回、もしくは1回が基本。
そして、いつのまにか洗濯には必ず柔軟剤を使うのが当たり前にもなっていて。
これらのせいで汚れが落ちなくて、部屋干し臭がする、という人がたくさんいらっしゃいます。
ここまで変化してきましたが、自分とは関係ないとその変化に気づかないんですよね。
僕らクリーニング屋さんたち、衣生活の変化にあまり気付いてないみたい。
でも、お客さんからのお話を聞いてその片鱗は感じているんです。
昔はこんなこと言わなかったぞ?とかこの時期にこんな服がクリーニングには出なかったぞ、とか。
あれ?と思った時にリサーチをしたらいいんです。
でも、こういうものだ、と思い込んでいると自分の知らないことが起きた時にイレギュラーだと思ってしまうんですよね。
変化を認めないんですよ。
変化ではなく、知らないんだな、に変わってしまうんでしょうね。
そのせいで、世の中の変化に気づけなくなっている。
だからクリーニング屋さん、まだ衣替えがどうのこうのと宣伝している。
洗っている服で、秋冬物とか春夏物という概念がなくなってきているのに。
一年通して同じ服を着ている人が増えているのに。
目に見えているし体験もしているけど、服は季節ごとに着替えるものだ、衣替えをするものだ、洗ってからしまうものだ、という固定概念が強くあるので、世の中の変化をおかしなものとして捉えてしまう。
でも実際は、外に着る物はほぼ一定で、インナーで調節をしたり、真冬の寒い時期はダウンなどを着込むことで調節をしている。
建物の中に入れば一年同じ服を着ていても平気な環境になっているわけで。
服の着方がこんなふうになっているのだから、それに合わせていかないとダメなんですよね。
こういう着方をしている今の最適なお手入れ方法は?
一見、衣替えみたいに決まった時期にお手入れするとか決められなさそうですが、気温の変化などでやはり洗ったほうがいい時期はあるわけで。
そこを衣替えという話ではなくお手入れをするタイミングとしてアナウンスをしてあげるといいのではないかな、と思うんです。
ネット上にはかれこれ10年以上、同じ質問があがります。
スーツは何回着たら洗うのがいいですか?
いつになってもこの質問が新しく出てくるというのは、タイミングがわからない、という事です。
そして、買う時にも教えてもらってないし、周りの人ともそういう話はしていない、という事でもあります。
1番変わらなきゃいけないのはクリーニング屋さんなのかもしれません。
服に関する正しい知識がありますからね。
それを元に今にあった提案をしていく必要があるよなあ、と思います。
こういう物だ!というならその根拠もちゃんと出さないとね。
ただ、昔からこういう物だ、というのは若い子達から見たら老害ですから。
きちんと理由を出せば、わかってもらえます。
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