ネットで集めた情報でしょ？

最近、クリーニング屋さんで情報発信をしている人たちが増えています。

その件についてはとてもいいことだと思いますが、内容を見た時に、これネットで集めた情報だろ？というようなものがかなり多く見られるのがとても残念。

クリーニング屋なんだから、自分の知識の中で発信をすればいいんですけど、多分クリーニング師ではない人がやっているんでしょうね。

だからネットで検索をして得た情報をそのまま鵜呑みにして発信してしまっているんだと思います。

大きな会社とかでやっているんだろうなあ。

ダメだよ、そんな事しちゃ。

Instagramでとあるアカウントがクリーニングの情報を発信しています。

それがねえ、ちょっもひどいな。

クリーニングから返ってきた時の袋をすぐ外すべき、と書いてるんですよね。

放置厳禁とも。

まあいいです、その人の主張なので一旦話は聞きましょう。

では、なぜ袋を外さなきゃいけないのか？その理由はなんなのか？

湿気かたまりカビが発生するからと、溶剤の臭いが定着するから、と言うんですよね。

これ、一つずつ訂正をしていこうと思います。

まず、湿気が溜まりカビが発生する、とありますがクリーニングから返ってきた衣類、特にハンガーにかけられたものは下が開放されています。

密閉されてないんですよね。

で、湿気というのは空気中の水分です。

当然空気より重いので下から抜けていきます。

湿気が下から入ってくることはありますが、たまった状態になるのは実はかなり難しい。

そして、カビの原因は湿気だと思われていますが、カビの菌がまわりにあることと、カビの栄養分があること、つまり汚れていないとカビは生えません。

対策としては、ちゃんと綺麗に洗うことと、湿気を取り除くこと、この二つがカビ対策なんです。

カビの菌はそこらじゅうにいるので避けようがない。

そうしたら湿気を取り除くように除湿剤を置くとか、定期的に空気の入れ替えをする。

そして、カビの栄養源をきちんと洗った取り除く。

袋は関係ないんですよね。

だって、袋から外していてもカビてる服はたくさんあるんですよ？

それがこの情報が間違っているという根拠にもなっています。

ったく、ネットの情報を漁って記事にするからこんなトンチンカンな話を書くことになるんだ…。

次に溶剤の匂いが定着する、とあります。

溶剤の匂いが定着するなんて聞いた事ありません。

クリーニングで使われている溶剤、ドライクリーニングの洗う液体のことを指していますが、これは揮発性の液体です。

つまり、時間の経過とともに空気中に発散されてしまいます。

袋を被してあるとなかなか発散されずに溶剤が残ることはあり得ますが、これそもそもがその状態でお返ししてはいけないんです。

きちんと乾燥し切ってからお返ししないといけないもの。

なので、溶剤が残ってしまうから袋外してくださいというのは、お弁当を買った時に肉に火が通ってないかもしれないので自宅でレンチンしてからお食べください、と言っているようなものです。

これいうクリーニング屋さんは信用できない、と僕なら思います。

匂いが定着するような溶剤は使われてないのでまずその心配はありませんが、溶剤が残ることは他の悪影響があります。

一つは体への負担。

溶剤はやはり体にはあまり良くないです。

だから、揮発性のあるものを使用し、服から完全になくなるものを使用しています。

また、溶剤の残っている服と肌が擦れると化学やけどという状況が起きることがあります。

これが危ないんですよ。

なので、溶剤が服に残っている事そのものが悪い事なので、袋を外してください、というのはおかしな話になります。

クリーニング師なら常識ですから、この記事を書いた人はクリーニング師ではないですよね。

もしクリーニング師が書いてたとしたら、もう一度勉強しなおせ、というレベルです。

最近のクリーニング屋さんはネットで勉強をしている人が増えています。

素人がアクセス数を稼ぐために作ったコタツ記事をプロが参考にしてるってのがそもそもおかしい。

こんな事してるから洗濯やクリーニングがおかしく伝わるんですよ。

袋を外せ、と言い出したのは大手チェーン店です。

今から30年近く前になるのかなあ、ホームページが普及していろんなクリーニング屋さんが作り始めた頃に、大手チェーン店が注意事項としてホームページにのせたんです。

それを他のクリーニング屋さんがパクったのが真相。

それ、おかしいですよ、と何度も業界内で話して来ましたけど、すでに広まってしまうとなかなか考えを改められなくなるんですよね。

なので今こうして間違った情報が出回って、常識の如くなってしまったのは僕らクリーニング屋のせいなんです。

大手チェーン店だけが悪いわけではなく、個人店含めみんな悪い。

おかしなものはおかしいと、声を上げなかったんですから。

さて、話をまとめましょう。

クリーニングから返って来た時、袋を外すかどうかは利用されたクリーニング屋さんに確認してください。

きちんと洗っているところなら外してもいいと言います。

もし外した方がいいというクリーニング屋さんだったら、溶剤の残留や汚れが残っている可能性があるクリーニング屋さんという事です。

その時は従って袋を外し、乾燥しなおした方がいいです。

ただ、もし僕がお客さんならやり直してもらいますけどね。

だって、おかしいもん。

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